帰還 By Y平

「Y平さん、生きてますか!?」
「Y平さん、しんじゃやだ!」
「Y平さん、早く更新して!」
だなんてメールが鬼のように来ると思っていたので更新しなかった。
200キロマラソンの道中に野たれ死んでやしないか?
だなんて皆さん方を焦らせたかった。
ほんとに死んだんじゃない? 心配性の読者がそう言えば波紋は一気に広がる。
そういやあ白川で雪崩が起きてたなんてニュース聞いたぞ、
嘘の情報に踊らされる読者もいるやもしれぬ。飛び交う憶測、嘘情報。
コメント欄で大はしゃぎ。ちょっと知った風の輩が得意げな顔で物申す。
「でもmixiにはログインしてたよ」
安堵安心みな笑顔。それでも更新しないよY平さん。次第に広がる不安感。
mixiにログインしてることが、果たして生きてるという証明になりえるだろうか……
あなたは自信を持って言えるだろうか。Y平が生きているだなんて、
誰が証明できようか。不安に駆られてメールするあなた。
「Y平さん、帰ってきてください!」
そのメールを眼前に、自己顕示欲が満たされていくのを確認する俺。
これぞ至高の喜びってやつっす。
だからテクニックでもって、わざと更新しなかったのだけれど、
届くのはリクナビのメールばかりだったので更新した。
そうだった。僕はいつだってそういう人生だった。
とまあ、更新しなかったのは本当に疲れてたから。
つーか、21日に帰ってきて、その足でサークルに向かい、
コンビニのバイトした僕には休む権利ぐらいあると思った。
とりあえず今から詳細を書いてみようかなあ、なんて思います。
おそらく4話構成で全部書き次第、アップする予定です。
ちなみに帰ってきてからずっとくるぶしが腫れてます。すっごい面白い。
では。

アイラブ肉欲 By Y平

ファミコン版「ドラえもん ギガゾンビの逆襲」の音楽をMP3でダウンロードしてたら、
ブログのアクセス数が1700/日とかになってたからびびった。
なんでのん? 俺、なんかしたっけ? 思い出せ。
……確か現実世界では何もしていない。ずっと酒呑んでた。
するてーとウェブ上の俺、文章だけでならなんでも言えらーな状態の、
虚勢で塗りたくられた矮小なウェブ俺が何かした。それだ。
突きつめてみると、正確にはウェブ俺じゃなくて、
「肉欲企画」の肉欲棒太郎さんが何かした。大手ブログの肉欲様が、
恐れ多くも「秀逸日記」として多重人格を紹介してくださったのだ。
うお。何これ。指が、指が震えるよ。尊敬する肉欲さんに僕が……
普段ネットをやらない人達から見たら、
「尊敬する肉欲」だなんてワードは犯罪でしかない。
mixiから流れてくるリアル友人達が、「尊敬する肉欲」などと
訳の分からないことを叫ぶウェブ俺を見たら……と思うとぞっとした。
なので、インターネットではありがちの
「大手に紹介されました自慢」はここらで打ち切りたいと思う。
と、ここまで書いたところで、「インターネットでありがちのって、何?」
みたいなリアル友人の軽蔑交じりの声が脳内に響いてきたので、やはり発狂した。
もともと逃げ場はなかった。僕は「尊敬する肉欲」などと気持ち悪いことを叫び、
ウェブ上でしか生きられない廃人であった。
(以下、上記の文脈から汲み取れる大意)
うおおおお! 肉欲さんに! あの肉欲さんに紹介された!  どひゃあー、すげえ!
ありがとう肉欲さん! めっちゃファンです!
のび太と傭兵とか震えました! そんなけじゃなく、レボリューションNO3の出だし、
童話ドラえもんとか桃太郎のパロとか最高です!
いや、あの記事がいいとか挙げるのもバカらしいくらい、
いつも読んで笑わせてもらってます!
常人離れした変態性、語彙の多さ、文章の流麗さ、表現の豊かさ、
どれをとっても尊敬しっぱなしてす!
いっつも肉欲さんみてえなの書きてえなあ、なんて思ってます!
紹介ほんとにありがとです!

(大意終わり)

「のび太と傭兵って何ー?」て言ってるリアル友人の声が脳内に響いたけど無視した。
読んでねーやつは死ね!
さて、そんなウェブの内輪話もそこそこに、
今年もバカマラソンに行ってこようと思います。
バカマラソンっつーのは簡単に説明すると、
名古屋からマラソンで遠くまで行こうっていう企画で、
高校生のころから、相棒のたいし君とともに、関が原、知多半島師崎、
琵琶湖などなど色んなところを走ってきました。
補導されたり凍死しかけたり、楽しいマラソンです。
(詳しくはサイドバーのバカマラソンの記事を見るといいよ)
んで、今年もバカマラソンに行くんですが、目的地はどうするか? そこが問題です。
まあぶっちゃけ適度に遠くて辺鄙なとこならどこでもよかったので、
軽い気持ちで「合掌造り見に行こう」だなんて言ったのね。僕が。
で、今年の目的地は「岐阜県白川郷」に決まりと。
ところがねー、ぶっちゃけ甘く見てた。「白川郷」マジきびしかった。
地理に疎い僕は、白川郷っつっても岐阜駅のちょっと北ぐらいにあるだろー、
みたいに思ってたんだけど、世界違ったね。めっちゃ遠かったわ。
まあ言っちゃうと、名古屋駅(スタート)から200キロぐらいあった。
200キロ。どゆこと? あなた200キロ走れる? 僕走れない。
最近、トレーニングと称して毎日8キロ走ってたのですが、
そんなもんは何の足しにもなりません。つか8キロでもわりと疲れてたし。
加えて、暖冬暖冬叫ばれてきた昨今、今週に限って寒波とか雨とかが
一斉にきやがりましてメチャメチャ寒い。基本マラソン中は寝袋かぶって野宿なのですが、
こんな中野宿したら凍死します。どうしましょ?
まあでも行くって言っちゃったから行かねばなるまい。
日程は今日から3日の予定。帰ってきたらなるべく早く更新します。
僕がいない間はサイドバーの過去のバカマラソン記事でも
読みながら待っててください。(今とノリが違うので違和感を覚えます)
それでは。
↓ここをクリックするとランキングに投票されます(12位)

勧誘 By Y平

大学のな、カツ丼がな、うまいのよ。だもんでその日もカツ丼食ってた。
441円。割り箸で、かきこむようにして食う。美味。うちのカツ丼とは段違いっす。
そんな至福のタイムを送ってたときだ。颯爽と隣の席に腰を下ろす男性二人組。
「すいませーん」
だまれ。
「あのー、お食事中すいませーん」
カツ丼食いたい。
「はいはい? 何でしょう?」
僕は嫌悪感を顔に出さずに答える。
「あのですねー、僕達のゼミで「いじめ自殺について」のセミナーをやるんですけどお」
いじめ自殺、最近のもっぱらのトレンドですね。社会問題を論じるセミナー、
就活にも役立つんじゃないかな? 知らんけど。
「今、いじめ自殺ってひどいじゃないですか? あっちこっちで自殺自殺。
 ところで、今日本で年間どれだけの人が自殺してるか知ってますか?」
あー、どーでもいい……と思わせるのは、僕の目の前にカツ丼があるが故です。
誰が悪い、とかじゃない。カツ丼が悪い。
「あー……ちょっとぉ、分かんないっすねえ」
バカっぽく答える僕に対し、一瞬浮かぶ、蔑みの目。
「実はですね~、年間3万5千人も死んでるんですねー」
「はあ、そんなにですかあ」
バカを相手にするのは楽だぜ。男の目は語っている。
「それじゃあ、交通事故で死ぬ人は一体いくらだと思います?」
あー、しらね。つかカツ丼食っていい? とは言えないのが
日本人である僕の長所であり短所。
「ああ~、それもちょっと分からないかもですう~」
バカを演じるのは楽です。男はほんの一瞬ニヤリとすると、
更に論調を高めていく。
「なんと7千人。実は自殺者って、交通事故で死ぬ人より多いんですねー。」
「まじっすかー」
カツ丼食いたい。もういいや、食っちゃえ。バクバク。
「(え? こいつカツ丼食い始めたよ。)んでですねー、
 こんなに自殺が起こるのはあなたは何でだと思いますか?」
「クチャクチャ……それは、もぐもぐ、分からない、
 クッチャクッチャ、ですねえ、むぐ……いろいろあるし」
「(つかどうでもいいけどネギくせえー)私はやはり、
 生きる目的がないから。それに尽きると思います。」
「クチャクチャ、ですねー」
「あなたの身近な人が、家族とか、友達とか、恋人とかが!(ここは強調だぜ!)
 生きる目的がないっていう理由で、自殺しようとしたら。
 あなたはどうしますか? 止められますか?」
「もぐもぐ、まあやめろーって言うしかないっすよー」
「ですよね。あまり分からないですよね(こいつバカじゃね?)。
 そこでですね、我々は、その生き方、人生においての
 生きる目的を考えたいと思いまして……」
まあ、じっと我慢してバカっぽく振舞ってきたんだけども、
ここへ来て笑いをこらえるのが大変でした。
ここらでちょっとだけ、ちょっとだけ反撃してもいいんじゃないかな?
「え? いじめ自殺がテーマじゃなくて、生きる目的がテーマなんすか?」
いじめ自殺を論じるんだし、どーせ自殺者あんなに多いのに、いじめによる自殺は0人なんだぜ?
っていう腐るほど聞いてきた論調に持っていくのかと思いきや、そこからいきなり180°転回。
生きる目的にまで持ってける豪胆さに、思わず笑いが……
「え? いや、いや? その、いじめ自殺を通してですね、生き方をね……」
へえ、いじめ自殺と生きる目的がなくてする自殺を混同しちゃうのかー。それっていいんだねー。
いままで学校側からいじめによる自殺の報告が0なのは、こういうカラクリですか。
「自殺の原因は何でしょうか!? 校長! 校長! パシャパシャ!」
「あの子は生きる目的がないと嘆いておりまして、おそらくそれが原因で……」
「なるほどー」無理だー。
「えっと……んでですね、僕達それについてセミナーを開くんですけど、
 そういう分野って興味ありますか?」
「そういう分野って、どういう分野ですか? いじめ自殺についてか、
 生きる目的がなくてする自殺についてか、はたまた単に生きる目的についてか」
「……えっと、ですねえ」
「すんません、全然興味ありません。すんませんすんません。」
「あ、はい……お食事中失礼しました~」
「はいー」
……すげえ気持ちいい。ちょうどこのときはテスト期間だったもので、
いい気分転換になりました。
がんばって一人でもセミナーに来てくれるといいのになー(乾いた口調)。
と、ここまでなら単なる、「僕ってしっかりしてるんだぜ?」自慢でしかないのですが、
これで終わってたらガックリです。まだ続く。
どうみても論点がすり返られてる二人を追い返すと、僕は食堂を出、
外のベンチでテスト勉強にいそしみます。冬とは思えないうららかな陽気。
そこで勉強する俺はかっこいい。
僕がそう思ったか思わなかったかはあなたの想像力にゆだねるとしましょう。
そんな知的な僕が勉強してたら、おもむろにベンチに近づいてくるオヤジあり。
満面の嘘笑顔を塗りたくった顔でクリアファイル片手に近づいてくる。
接近に気づき教科書で顔を隠す僕。寄ってくるオヤジ。目をあわせたらやられる。
伏し目度アップ僕。寄ってくるオヤジ。やめろ。やめろ。
「すいませーん、私サークルの活動でぇ、アンケートを行っておりましてえ」
あちゃー、またですよ。そんなに僕は話しかけやすいんでしょうか?
(この場合の話しかけやすさはむしろマイナスイメージを孕んでいる)
「2、3質問にお答えいただけませんかあ?」
うぜ。邪魔。テスト勉強してるの分かるだろ。
「ああ……はいはい」
目が笑ってない僕に気づいてんのか気づいてないのか……
オヤジはニコニコ顔を浮かべながら、僕の横に座る(妙に近い!)。
そしてクリアファイルから、アンケート用紙を取り出し、僕に見せてくる。
「まずですね、最初の質問はこちらです」
え~っと何々?
<日本では、年間どれだけの人が自殺しているでしょうか?>
これには笑いを禁じえなかった、いや、ぶっちゃけ笑った。ブホッ! て笑ってしまった。
なんでここで笑うのん? だなんて一瞬キレ顔を浮かべるオヤジ。いや、待てオヤジよ。
必死に笑いをこらえる僕。これはまさか……
「えと、えっとですねえ……ブフ! 3万……3万5千人ですよ……ね?」
「おお~、あなたよく知ってるじゃないですかあ! そんじゃあこちらはどうですか?」
オヤジがアンケート用紙をめくる。そこに出てきたのは
<年間の交通事故死の人数は?>
噴出してしまった。思わずゴフゥって、めっちゃ笑ってしまった。知らないはずはない。
知ってるからちゃんとお答えしなきゃ。それが最低限の礼儀……ブホッ!! 死ぬ!
「ぶふっ! はは、えっとっすねえ。7千人でしたっけ?」
「正解だあ! いやあ、あなたすごいですねえ。ちゃんと社会のこと分かってらっしゃる!
 ちなみに今何年生なんですか?」
「はあ……グフ……三年生です」
「さすが! 三年生ともなれば就職とか気にしだしますものねえ。いや、立派だ!」
アンケートなのに回答をメモしてないとか、
お前いくつまでサークルやる気なんだよとか色々突っ込みどころはあるけど、なにより……
「あ、そういえば、サークルのアンケートって言ってましたけど、
 一体何のサークルなんですかあ?」
「哲学サークルですぅ」
ゼミだったはずでは?
やあ、笑えた。このオヤジの滑稽さといったらなかった。
僕は何もこういう人たち全般が怪しいなあだなんて微塵も思っちゃいない。
論理がしっかりしていて、自分の興味をそそり、素性の明らかな団体なら
至極真面目に接したのだけれど、
ゼミだったりサークルだったり(それにしても哲学サークルとはうまいことを言う)、
いじめ自殺だったり生き方だったりホイホイ変わっちゃうような団体さん相手に
真面目になれって、それは無理な話じゃないすか?
「あのー、ぶっちゃけさっきも同じことを聞かれたんすけど……」
つかゼミだったんですけど。とは言っちゃいけないような気がしたので言わなかった。
もう少しこの人たちの話を聞きたい。どんな展開を見せるのか知りたい。僕は我慢した。
「ああ~! じゃあちょうどいいです! 早速本題に入りましょうかね!」
「じゃあちょうどいい!」ってどんなご病気の持ち主だよ、
僕の話聞いてた? と思ったけど、ここも我慢して聞く。
聞きたいんだ。あなたの情熱を感じたい。すぐ突っぱねるなんて勿体無い! 
「君もね、就職して、会社の歯車として働くわけになるんですがね。
 どうです? 来る日も来る日も仕事仕事。そんな生活を想像してみて?」
歯車って決め付けられた! びびる! この人すごい!
「いやですよねえ。なんの目的もなく生きる……
 そんな無為な生活がこれからあなたを待っているわけですよ。どうです?」
また決め付けられた! もう駄目だ! おおおおお!
待て……Be cool 俺。もっと引き付けろ!
「やはり生きる目的! これがないとこれからやっていけないわけです」
もっと! もっとだ! カモナップ!
「あなたはこれからの人生、生きる目的も何もなく、来る日も来る日も無為な生活を……」
ああああああああああおおおおおおおおおううううううう! も、だめだ
「別にそれでいいです。無為でいいです。つか大半の人がそうなんじゃないですかね?
そして実はあなたも。でも、そこを気にするのは気になる人だけであって、
僕は気にならないからいいです。無為っていうか、僕にとって目下、
一番大事なのは明日のテストです。分かりますよね? 意味」
オヤジは馬鹿そうな僕からそれを聞くと、なんかもう誰が見ても分かるくらいキレて帰っていった。
露骨にキレて帰っていくオヤジを見て、
やっぱりオヤジも生きる目的が見つかってないんだろうな、
だなんて思うのは感傷だったろうか。あはー
(今回の記事には特定の宗教・団体を誹謗中傷する意図は一切含まれていません)
↓ここをクリックするとランキングに投票されます(25位)

もよおした話 By Y平

というわけで、テスト期間中だったわけ。大変でした。
ブログなんてやってる場合じゃねーよ。こっちは卒業かかってんだカスと。
三年時に既に五年目が決定するなんて恥ずかしい。僅かながらに残っていた常識でもって、
なんとかブログ更新するのを耐えた。
途中「更新してもいんじゃね? 期間中にやってこそのブログじゃね?」だなんて、
内なる自己顕示欲が僕を誘惑したのだけれど、
そこは別のもの(エースコンバット4)に興味を持たせることで回避した。
テスト期間中、異常にドッグファイトがうまくなったのはこのため。
今なら機銃で何でも落とせる。
そうやって、「久々に俺復活です☆」だなんて人気ブロガーぶるのも、
「結局テスト勉強しなかったぜ☆」と劣等生ぶるのも全てあなた達をはめる為の暗示です。
人は人が堕ちていくことを喜び、人気者っぽい人を好む。
あなたは僕の暗示にかかっている。おらは人気者。おらは劣等生。
それをバカにして笑うあなた、幸せ。
しかしあなたは知っている。自分が決して幸せでないことを知っている。
僕の思惑もあなたの幸せもどうでもよかった。
つことで、せっかくだからテストの話でもしますかね。
あれはテスト初日の話。睡眠時間は6時間。すっきりした頭で、
かなり早めの電車に飛び乗る僕がいる。車中、僕はおもむろに専門書をオープン。
高電子移動度トランジスタについての思索にふける僕。超頭いい。だなんて悦に浸る僕。
それは電車内でマニアックな日本史の知識を大声でひけらかす受験生の精神と似ている。
飽くなき自己顕示欲。
するとね、突然その……降りてきたんですね。ウンコが。
なんか腹痛いなーと思ったら、ウンコだった。ひり出したい。ウンコをひり出したい。
ウンコしたいからウンコした。車中で。といければ物凄く楽なんですが、
そこはまあ常識とかそれっぽいものを振りかざす人たちがいるから無理。
するとどうするか? トイレに行くしかないと。
トイレに行くから電車を止めた。なんつったら、たちまち三面記事。
それもこれも常識とかいうやつのせいなんですが、まあそこは譲った。
乗り換え駅に着くまでの25分。僕はこの核弾頭を腹に抱えなければならない流れです。いって、マジ無理。
ちょっと無理っぽい痛みに驚いて、おもわず座り込んだ。満員電車の中座り込んだ。
前のオヤジが明らかに嫌そうな顔したけど無視した。
事情を知らずに他を疎むハゲは死ねよ。と思いながらの無視。
僕は己が核弾頭を静めることに専念した。
核弾頭をなだめすかし、ようやっと駅に着くと、トイレに駆け込もうと走った。
名駅のトイレだ。汚い汚い名駅のトイレ。
走ってたらなんかすごいウンコするのがイヤになってきた。なぜか? 
いや、考えてみ? 名駅のトイレ、めっちゃ汚いじゃんね。
ウンコとか尿とか普通に落ちてるしさ。俺、そんなところでするの? ヤダよ普通に。
と思ったら、なんだか腹の痛みもおさまってきた(ような気がした)。
ここで出したほうが健康にはいいんだろうけれども……
わざわざこんなとこで出さなくてもいいか。わざわざ。
キレイなトイレでしかできない軟弱な男なんですか?
だなんていうお節介がきそうなものだけど、まあ待て。
高級な猫もトイレが汚いと病気になるまで尿を我慢する。
そういう貴い精神、貴ニャンコの精神に基づいて、僕もウンコを我慢する。
決して軟弱だからじゃない。貴いからできない。そういうロジック。
大丈夫、いける。腹の痛みは幾分軽微。大学のキレイなトイレでしよう。
シャワートイレがついてる便器でしよう。IB館のトイレでしよう。
そう思い、乗り換えの電車に飛び乗った。
したらなー、また腹が痛くなってきた。こいつは尋常じゃない痛み。また満員電車だし。
正直しまったと思った。なんだ貴ニャンコの精神って。あほか。
したいときにする。それが自然じゃん。御託ならべてんじゃねーよカス。
脂汗は出るわ、満員電車で前の女子校生に腹は圧されるわで、もうダメだと思ったね。
だもんで必死で別のことを考えようとした。高電子移動度トランジスタ?
無理。とても考える気になれん。
ぐおお、更に痛くなってきた。仕方がないので女子校生の匂いを嗅ぐに徹した。
変態ではない、これは手段だ。ウンコを紛らわすための手段だ。
くんくん。くんくん。なんかタバコの臭いする。この不良娘が!
女子校生の微妙な匂いを嗅いだら余計に腹が痛くなってきた。
だもんでもうかぐの止めようかと思ったけど、
混んでたから強制的に臭いをかがされた。
う! やめて! 腹にくる! お前の匂いは腹にくる!
発想の転換。整腸作用のある匂いを女子校生に嗅がされるという展開を、
女子校生に浣腸されるという状況に脳内補完する。
ぐえ、萌える。マゾ万歳。めっちゃチンコ勃つ。
変態ではない。これは手段だ。ウンコを紛らわすために止む無く講じた手段だ。
やっべ、で、出る(ウンコがだよ)!
なんか変な駅に着いて人が大量に降りていったので、座り込んだ。
どS女子校生もどこかへ消えた。チンコ勃ててる場合じゃない、ウンコ出る。
肛門とかもう、2ミリぐらい盛り上がってる。めっちゃ圧力かかってる。
ビーダマンで言えばしめ撃ちみたいな感じだ。頑張って閉める肛門。
圧力を増す肛門。頑張れ肛門。負けるな僕。
次の乗換駅に着いたので僕はものすごい勢いで走った。もう行くしかない。
この駅のトイレでしめ撃ちかますしかない。貴ニャンコの精神はもう忘れた。
汗が目に入る。チンコももう萎えた。
走ってたらまた痛みがおさまってきた(ような気がした)。
つかさーよく考えたら、大学まであと一駅じゃん?
ここでするのってどうよ? 勿体無くね?
ちょっと我慢したらIB館のパラダイストイレが待ってるってのにさ。
我慢の足りねえカスだよ僕は。
だからまた我慢することにした。なあに大したことはない。たった一駅だ。
一駅我慢できずに何が貴ニャンコかっつー話ですよ。
ピンポーン♪ まもなく電車が参ります。ほら来た。すぐ来た。超余裕じゃん。
電車の明かりがはるか遠くから見えた。皆が電車に乗ろうとノソノソ動き出す。
したらまた腹に激痛きた。周期みじけえ。この痛みは死ぬ。もうダメだ。
電車が今にも来ようとしているところで、僕は走り出した。
階段上がる。走った。走った。すぐトイレあった。大急ぎで駆け込む。
盛り上がる肛門。荒くなる息。ズボンを脱ぐ僕。
……!? 刹那の違和感。あれ? 紙がない。紙がない。紙がない。
再びズボンをはく。走る。さっき来た電車に飛び乗る。慌てて駆け込んだら、
二年ぐらい話してない微妙な知人が前にいたけど無視した。
以上、わずかこの間30秒。何だこのついてなさ。
微妙な知人の前で、苦悶の表情を浮かべながら、またしても満員電車の中座り込んだ。
まわりはウチの大学の学生ばかりで、明らかに僕を気持ち悪い人だと認識、
目もあわせてくれない。僕は見てはいけない人。危ない人。
ちらりと例の微妙な知人を見たら、ものすごい勢いで無視してた。やった。
今ここで、奴と僕との間に「他人」という境界線が発生したのだ。
もう今後あいつと喋らなくていい。
えっと、話しかけるべきかな? みたいに悩む必要なくなった。
「知人」から「他人」へのランクダウン。
その別れに一切の悲しみは介在しない。どうでもいい。ウンコしたい。
大学の駅に着いたらもうなりふり構わず走ってやった。ドアが開くと同時に、
便意のせいで微妙に腰が曲がった走り方でギャンギャン走った。
大学のトイレ(めっちゃキレイ!)に駆け込むと、便器に座るや否や
「バーン!」みたいな音とともに大量の核弾頭が発射された。しめ撃ち
あまりに勢いがよすぎて、便器の水が弾けとび、尻が濡れたが、僕は勝つことができた。
テストは普通でした。
↓ここをクリックするとランキングに投票されます(新規登録)