恥ずかしい兄 By Y平

 僕ってたいがい子供っぽいところがあるので、楽しくなると途端にすごいテンションになっちゃうときがある。なんつーか5歳くらいのガキみたいになるときがある。「ウキョー」とか言いながら、家で猫と走り、母や祖母に「あんたは何歳だ?」みたいな感じに呆れられるときが多々ある。そこで始めて、来年24歳なんだよなーと微かに危惧する僕もいる。
 その日も妙なテンションだった。というのも、平日の夜6時50分。帰宅途中のバスの中。久しぶりに早く帰れる高揚感でいっぱいの僕ですわ。おまけにその日は金曜だったので、ドラえもんを生で見れる、というボーナス付ときたもんだ。そんなわけで、小学生的ウキウキで僕の心は満たされていたわけ。
 で、帰宅。ドアを開けて玄関に入ると、途端に鼻腔につくのは夕飯の匂い。おやおや、今夜は焼肉ですかな? もうここで気分は最高潮。無理もない。普段は夜11時にしか帰れない多忙気取りの僕っすから、久方ぶりに味わう家庭の雰囲気というのは格別なもんすわ。
 なんだか、楽しくなった僕は、靴をポポーンと脱ぎ捨て、軽やかなステップとともに歌いだす。曲名は「デブのおばあちゃん」。「デブデブデブー、デブのーおーばーあーちゃーんーーーー♪」とかなんとか。リビングに控えてるであろう、うちの祖母を罵倒するナンバーを熱唱しながら、うっとうしいウドみたいな動きをしつつ、焼肉の匂いがするリビングにボギャンと押し入った。
 ドアを開くと同時に高まる僕のテンションと歌声。「デブーン、デブ♪ デブー♪」とか相変わらずバカな歌を歌いつつ足は「トテテテテテテ」と激しいステップ。もうなんか無性に楽しくて、なんなら今からソファーにヘッドスライディングしようか? みたいな趣きすら僕の中でできあがっていた。
 で、カバディみたいな動きしながら、いざ、団欒の場へと突撃。「デブさんただいまー!!」と、ばあちゃんに挨拶したら、なんか妙な感じがした。ばあちゃんが痩せてる。つーか痩せてる以前に若返ってる。ハタチくらいに見える。しかも無駄に可愛いと来たもんだ。あれ、うちのばあちゃん、あんなに可愛かったっけ?
 なんだか釈然としない思いを抱えながら、傍らを見やると、頭を抱えハズカシそうにする弟がいた。なんだこいつと思いながら、再度、妙に可愛くなった若いばあちゃんを見やると、驚いた顔で目を見開きながら、ばあちゃんと認識してたはずの女性が言った。
「こ、こんばんは……」
 弟の彼女だった。
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便器の話 By Y平

 このまえ実験中に急にウンコしたくなりまして、一人、大学のトイレに走ったわけ。したらすごいね。最近の大学のトイレは異常です。もう、綺麗だなんだって。昨今、有料トイレなるものが流行ってますが、それに負けず劣らず、まーすごい。なんかシャワートイレとかついてて、便座も暖かい。かつ、掃除が行き届いていて、ウチのトイレより全然しごこちがいい。いやー、贅沢ですよ。穴ぐらのような実験室で、ヒゲボーボーはやしながら実験してる僕らには勿体無い。もっとこう華やかな、青山の女子大生とかが、お小水をする場所って感じがしますここは。その証拠に、なぜか男子トイレなのにビデまでついてますからね。いらない。
 で、僕もそのキラキラ光る青山風スイーツトイレで、醜い顔浮かべて勝負しとったわけ。いやあ、最高。家のトイレより全然いい。元来汚いモノとされる公共のトイレでこれですよ。大学入ってよかった。
 一勝負おえて、ふうっと一息。さあ尻を吹くかなと立ち上がった――あ、ちなみに僕は、尻を拭くときは立ってじゃないとできない派なんです。なんつーか座ったまま尻に手を伸ばせない。だってなんかそのまま便器に手を突っ込んじゃいそうじゃありません? というわけで、いつものように立って尻を拭こうとしたんですが、そのとき驚愕の事件が。
 なんと、便器様が。ビデすら付いてる高機能便器様が、勝手に僕のブツを流し始めたのである。立ち上がったと同時に、ブッシャアーと渦を巻く便器。流れていく僕のモノ。勝手に。勝手に。そちらのタイミングで。
 許せん。何が許せんって僕はまだ尻を拭いていないのである。ということは、今から紙を使って、モノを拭き取り、汚紙を便器で再度流さなければならんのである。なんですかこの二度手間は。やたらエコが叫ばれてるこの世の中で、無駄に水を使わせ僕に罪悪感を残すこの便器は一体何様?
 すると、光輝くほうから聴こえる、あなたたちの声。「あんたが座って尻を拭けば解決じゃない?」。いや、ごもっとも。小さいころ母にもよく言われた。なんで座って拭けないの! っつって怒られてた。幼心に「じゃあ、なんで座って拭かなきゃならないの?」と反抗的な精神を抱いてた。結局母親の尻拭き矯正は成功せず、僕は未だに立って尻を拭く。それがこの便器……まさか母親は20年前からこの便器の存在を予見していたのか。なんたる企業人。なんたる先見の明。すると全面的に悪いのは僕ということに……
 ならない。ばーか。よく考えてみろ。便器にあわせて僕が行動するっておかしいじゃねーか。元来、機械というものは、人間の生活を便利にするという大前提があるはずだ。忘れてはならないのは、人間>機械という図式である。トヨタの車が全自動運転にならず、運転補助装置に留まっているのはその理由だ。機械が人間を制御しちゃだめだろ。そら星新一のSSかなにかか?
 なので、人間が機械にあわせるっつのは本末顛倒である。そりゃ、最低限のマニュアルは、壊さないようにという観点では必要だ。その点では、人間が機械に合わせる部分というのはあるかもしれん。
 しかしその場合においても、マニュアルに従うという行為は、そうしたほうが長く使えるという点で、人間が得をする。結局は人間のためである。人間のために、機械にあわせているにすぎない。これは人間>機械の図式が守られている例だ。
 一方、「座って尻を拭かねばならない」という拘束は、それに値しないのはお分かりだろう。機械の都合のために人間が行動する典型である。たかが尻の拭き方……と皆は一笑に付すだろうが、これは、流行のIT化社会、SIの世界にも例えられる。妙なシステムを導入したおかげで、人間が機械に振り回され、余計業務効率が悪くなるなんて例がある。便器に限ったことでないんだよ。
 まあ便器の話に戻すわ。立ったと同時に水を流す。この一見便利と思われる機能が、立ったまま尻を拭く派の人間を振り回し、水の無駄使いを促進させる。便器会社の「尻は座って拭くもの」という固定観念が、僕の業務効率(尻の拭き方)を悪化させ、環境を悪くする。悪しき馬鹿コンサルと、便器会社が今、ダブる。尻とSIと便器がシンクロした瞬間だ。
 さらに言えば、これで人類の尻の拭き方の可能性は大幅に狭められた。この便器が世に溢れた末に、人の尻は「座って拭く」しか選択肢をなくすのである。このことがどんな弊害を呼ぶかって? それを考えるのは尻の専門家たちの仕事なので、僕はここで汚物と一緒に流されて便器の奥底へとフェードアウト。……あ、あれ? 流れない? あ、そっか立てば流れるのか。よいしょ、グキ。うわ。足が折れた。立てない。ということは流れない。あ、あ、あ。
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毎日日記のこと By Y平

 毎日日記を軽いノリで書いてるんですが、携帯からだと見れない感じ満点です。携帯の人は、こちらにいってくだされば、見れると思いますのでよろしくー。ちなみに、PCであえて携帯のやつを見ようとすると、あまりの手抜きっぷりに萎えると思いますのでごようじーん。
 毎日、頑張ろう。……明日で3日目だ。まだ3日か……まだ。

名大祭 By Y平

<名古屋大学>学園祭模擬店で食中毒か 45人が病院で治療
 密かに8日の名大祭フリーマーケットにて、「バカマラソン」を掲載した自費出版本を売る予定を立てていたのだけど、諸事情で死にそうになった。
 というのも、どうも本格的な研究が始まりつつあり、毎夜毎夜遅く帰宅する。その上、出店前日に内定者懇親会@東京があるとかいう鬼畜スケジューリング。つーか先月の31日にもはあちゅうオフ@東京(今オフレポかいてます)があり、その他、就活などで東京に逝きまくってたので、なんか月4ぐらいのペースで名古屋から東京に出向くという按配だった。正直お疲れですわ。もーやだ。やだもー疲れた。一ヶ月ぐらい家でゴロゴロしたい。外に出たくない。でもはあちゅうにはまた会いたい。はあちゅうが家にいたら全部解決する。
 とまあ、はあちゅうオフは別に書くとして、つーかマジ、フリマ出店とか輝いた活動を画策した4月の俺(暇人)ファックという感じは否めない。輝いてるあっち側に逝こうとした俺が許せない。みんなで「何かをやり遂げた!」「みんな大好き!」とかいう羨ましいノリを甘受しようとした俺に「らしくないぜ……?」と肩を叩いてやりたい。
 ちがうよ! もっとこう、あんたはダークサイドの人間だったはずだぜ。「名大祭とか冷めるし」とか吹き吹き、家でドラクエ2とかやってる側だったはず。それが何? 俺は変わってしまわれた。社会性のない、反骨的な俺だからやれたこともあったはず。輝いてる側に逝く事、確かにそれはいいことなのかもしれない。しかし、大切な個性は失わるのだ。友愛と挑戦にあふれた俺。こんな俺に俺がジョブチェンジした瞬間、欝、ひがみ、虐げられしモノの心の叫び、等のパラメーターorアビリティーは大きく減少または失われ、23年間磨き上げてきた負の結晶は砕け散る。
 そんなものは壊した方がいいって? そんなこと言うやつあ馬鹿ですわ。アホですわ。輝いた太宰治がいるかね? 頭のおかしくないモーツァルトがいたかね? 欝、内向、きちがい、そういったものが、何かをキラリとさせる。そういう人生もある。なので、俺は積極的に俺の中のダーククリスタルを磨いて磨いて磨きまくり、闇に満ちた光を産み出そうとして……いたんだ。なのに……!
 まあ、出店っつても一人で出店する体で申請を出していたので、結局孤独でダークサイドだったよーつーことでお茶を濁して、FA?
 いや、もう、本当にどうでもいい。どっちサイドでもいい。光か、闇か、どちらかに差別化しようとするのは無意味だ。一番重要なのは別にある。それは出店前日。二徹までかまして文章校正、レイアウト、印刷を行い、さあ残りはホッチキスで止めて製本テープときたもんだ。輝かしき第一冊目の僕の本の完成ですゾ! と久しぶりにやりきった感で、ホッチキスを手に取り上げたところで、名大祭実行委員会からの着信、
「食中毒で明日は中止です」
て、お前ー! あぁああぁあぁうあかああぎゃぅおあおおおお~!
 着信の時刻は深夜0時。いやもう、おそらく色んなゴタゴタがあって仕方がなかったんだろうけど、どうかしてる時間帯だ。ダンドリの悪い合コンか何かのお話? 僕はご立腹ですよ。やっと光あふれるあっち側に行けると思ったら、また闇に満ちた牢獄にぶち込まれた感慨。「その黒いウンコを一生磨いてな」と心の看守が毒を吐く。ち、畜生! 馬鹿にしやがって! うんこじゃないもん、ク、クリスタルなんだぞう! う、う、うんこ!
 とまあ、本来なら怒りにまかせて、「何も全企画中止にしなくても!」「スイーツはやっぱり糞!」などと口角に泡を吹き吹きヒステリーを起こすのが僕ですが、実行委員会の人の、憔悴しきった「申し訳ありません」を聞くにつけ、怒りは行き場を失い宙を舞った。
 そして件のクレープ屋とて、ああも堂々と槍玉にあげられて、馬鹿にされ、それにつれて内部の人間関係もゴタゴタ、口には出さないけど責任の所在を明らかにしようと各々思索をめぐらしてるんだろうな~……などと想像すると、とてもじゃないけど怒れない。むしろ、「が、がんばってください……」と励まさざる負えない。
 ニュースや新聞の流れを見てると、今後の名大祭の開催も危ういらしいね。やだなーホント。せっかく僕も重すぎる腰を上げたのに……あっち側に逝けると……思ったのに。(うんこを磨きながら落涙し、暗転)
 (照明ON)で、8日。暇になった僕は、ミッドランドスクエアで「ランボー最後の聖戦」を見、半ばやけくそになりながら、ひつまぶしを食いに行った。上ひつまぶし、3150円。正直お金の無駄使いもいいとこだが、なんつーか行き場の失った怒りを、「無駄使いする俺、超破滅的」みたいな感じに自分にぶつけてた。
 したら、別にクレープ食ったわけでもないのに、無性に腹が痛くなった。これは……もしや……流行のアレなんじゃないの? ひつまぶしが……腹の中で暴れて……る? 
 そんな感じで、帰り道。バスの中。脂汗をかきながら、必死に何かと戦ってた僕だったのだけど、結局まあなんつーかウヤムヤになって、僕の中で、大祭じゃない何かがはじけて飛んで、中止になった。小さな食中毒事件が、今またここに。僕の尻に。
 いや、違うんだ。俺はクレープを食べたんだ。きっと。そう。八事日赤行ったら、黄色ブドウなんたらとかが出てきて……きっと。そうなんだ。23歳にもなってとか……お前、そういうこと言うなよ。誰が悪いとか……そんなお話じゃないでしょう? 考えてもみなよ。一番悲しいのは実行委員会の人と、クレープ屋と、そして僕なんだよ。そんなこと、言うなんて、あんた、意外と冷酷なんだね。僕は悲しいよ。そういえば、ちょっと思ったんだけど、あの騒動でウンコもらす人とかいたのかね? ウンコ漏らす女子大生とか興奮しないでもないよね。なら発想の転換で、ウンコ漏らす男子大学生もありなのかもしれねえなあ。あんたはどう思う? (ウンコまみれになりながら舞台、暗転、臭劇)
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