081119

 今日は朝から輪講があったので早起きして学校へ。八時半に到着。開始時間の九時まで机で突っ伏して寝る。早く寝たのにねみい。どうしようもねえ。
 輪講開始。先生が不在なので、M2の先輩とB4のみでやった。B4の先輩担当ですすめていく。……分からない。資料を読んでも、書いてることがあまり理解できない。B4の先輩自身もあんまり分かってない感じ。それでも切れ者のM2の先輩の助けでなんとか進めて行き、最終的に終わるには終わった。
 M2すごい。論理的だし、知識量が段違いだ。こういう技術者になりたいよなあ、という憧れが芽生えた。偽フェルミ準位についてその先輩と定義の確認をし、ちょっと理解が深まる。先輩とは実は同い年なんだけど、論理も知識も僕は下っ端。でもこういう人たちに囲まれて、意見が言えるっつーのは楽しいことだ。もっと早くこういう楽しさがあるよってことを知りたかったな。大学院に進んでも楽しかったろうに。後の祭り。
 その後みんなで食堂に行き、台湾ラーメンを食べる。
 そういえば最近、研究室内で台湾ラーメン不健康説が流れている。D2の先輩曰く、あれを3日連続で食べると痔になるとか。台湾ラーメンを食べたM2の先輩が昨日、便をもよおした折、ケツがぴりぴりと痛み、切れそうになったとか。
 何で辛いもの食べると痔になるんすかねーとか聞いたら、先輩曰く、ケツ穴の血流が増えるせいらしい。イマイチ信じ切れない僕。食った後、もよおすまでの間、そんなに尻血圧って上がったままなのかな? もぐもぐと辛みそを食いながらいぶかしむ。
 三時間後。早速もよおしてきたので、トイレに駆け込みふんばった。するとピリリ。尻に走る異常電流を検出。「おお、これか!」と感動しつつ、絶望した。体感してやっと分かる台湾ラーメンの脅威。論より証拠とはまさにこのこと。尻の痛みを知ることで、人は台湾ラーメンを自粛し、一歩大人へと近づく。どうでもいい。いってぇ。僕の尻どうなってしまうん? アーッ! とか言っておけばいいのかな?
 結局だましだましにやって、なんとか尻は守られた。危なかった。あと一欠けらの赤唐辛子が致命傷だったかもしれん。ぞっとしながらも、今日も今日とて実験室、クリーンルームへ。実験しながらこの日記を書く。クリーンルームで尻について書く感覚、悪くない。そんなこんなで実験終了。
 水曜午後5時はランニングと決めている。研究室内のメンバーで第三グリーンベルトのまわりを走る。M2、D2の先輩四人で走る走る。B4の先輩は、所在ボードのクリップが「学外」になっていた。逃亡の可能性あり。よっぽど走りたくないんだろうな……
 気持ちのいい感じで7週走って終了。ちょっと汗ばむぐらいが丁度いい。帰りに皆でファミマへ寄る。思わず三ツ星ミートスパに手が伸びそうになるが、必死に抑えた。空腹を我慢して帰った後の飯は、格段にうまい。空腹こそ最良の調味料。グリム童話でもそういう話があったな。
 帰りの電車内で、ノートに書き書き。エッセイを完成させる。原稿用紙換算で6枚。長すぎ。2日で書けた。こんぐらい小説の推敲も気合入れてやれよという感じ。ネットに載せたあと、時間があったら小説の推敲しよかな。たぶんやらない。眠い。

081118

 今日は朝起きたら九時になっていたのでギャースだった。先生からは、いつも九時半に来るように言われてるので、これでは完全にアウトである。まあ、アウトならアウトで仕方ないっつーことで、ゆっくり風呂入ってから学校へ。
 研究室に着くと、ちょうど先輩達が昼ごはんに行くところだったので、同行させてもらう。研究室来て早々にメシとは我ながらなめたB4だと思う。ヘルシーハンバーグ定食があったので、久々にラーメン以外に手を出す。うまい。野菜がうまい。というより、野菜にかけたシーザードレッシングがうまい。名大の食堂で一番うまいものは、シーザードレッシング。
 研究室に帰ると、ちょうど先生と鉢合わせして気まずい。ちょっとマゴマゴすると、「なんだい? 何か言われると思って身構えてるみたいだよ」とニヤニヤ言われ、図星。お茶目な先生だ。遅刻してすんません。
 午後は実験だ。装置の調子はすっかりよくなった。今日も見張り時間が多かったので日記を書く。
 実験終了。作ったサンプルの測定をかるーくやって家路へと着く。今日は七時に研究室を出れた。明日は作業がおすはずなので、こんなに早くは帰れないだろうな。……いや、七時だって決して早くない。むかつく。
 帰ったのが八時半。飯を食べながら録画してあったドラえもんを見る。おでんくん、ドラえもん、クレヨンしんちゃんと、金曜の鉄板番組は毎週全て録画してあるのだが、最近ではおでんくんとドラえもんしか消化できてない。クレしんは、時間があるときでいーやという感じ。とか言いつつ、時間があるのに観れてない。小説も同じ。時間があるときに限って書く気がなくなる。打ち合わせとかが迫って、切羽詰ってくると途端にクレしん観たくなるし、小説も書きたくなる。つまり、今の僕に足りないのは、ヤル気でも時間でもなく、忙しさだ。忙しささえあれば、もう少し充実した生活が送れるはず。我に七難八苦を! ……ウソ。苦しいのいやだよ。楽したいよ。昼からワイン飲んで脳がとろけるほど寝たいよ。ということで、何もやらずに寝た。久しぶりに11時前に床に着けたので本当に満足。僕だって、できれば早寝したいんよ。

Yちゃんの好み 【エッセイ】

 先日Yちゃんの誕生日だったので、いっぱしの彼氏らしくプレゼントをあげた。可愛い雑貨屋で買った白いティーポット。ポットの蓋には小さい黒猫の取っ手。側面には、Yちゃん好みの丸顔の黒猫が描かれている。これは絶対Yちゃん喜ぶはず、つーか僕が欲しい。確固たる自信のもとYちゃんに渡すと、案の定ものすごく喜んだ。
 そういえば、最近Yちゃんの好みと僕の好みがかなり一致してきたのを感じる。というか、僕がYちゃんの好みのものを、好きになるように洗脳されたといったほうが適切か。
 思えば、Yちゃんの買い物に付き合う度に、お洒落な雑貨屋に寄り、「これかわいい」などと言って、いろんな物を見せられた。初めは、「子供っぽいものをお好きで」などと斜に構えていた僕だったけど、何回も見せられるうちに可愛い……のか? という風に心変わりしていった。さらに、テレビ番組を見ているときでも、「あれかわいい」「これかわいい」と洗脳のように繰り返されるものだから、たまらない。
 そんな感じだから、次第にYちゃんが「かわいい」というものの雰囲気がわかってきた。ばかりか、それを心から愛するようになった自分に気づいて愕然とする。今では、Yちゃんに言われなくても雑貨屋に足を運ぶようになってしまった。女子大生みたいだ。
 さらに面白いことがある。Yちゃんが好きなものは、大抵僕も好きになった。ならば、僕が好きなものならYちゃんも好きかというとそうでもない。僕が可愛いものを見つけたとき、「可愛いー」と思いつつも、「これはYちゃん好きそうじゃないな」と同時に思うこともあるのだ。実際にYちゃんに聞くと、「これは好きじゃない」との答えが返ってくる。
 自分の可愛い観を保ちつつ、純粋にYちゃんの視線で可愛さのジャッジがくだせる。さすがに長く付き合ってくると違うなーと感じる。Yちゃんのプレゼントを選ぶ際には、僕ほど適任の人物っていないんじゃないかしら。
 そんな風に自惚れていると、先日。Yちゃんの家のキッチンに、可愛い猫の絵がかかれたカップがあるのを見つけた。聞くと、これまた誕生日に、親友のNちゃんにもらったとか。
 ぬぼーっとした表情を浮かべる、間抜け顔の猫を眺めながら、じーんと心打たれる僕。か、かわいすぎる。思わず、「Yちゃん。これ、僕のティーポットより可愛くね?」とYちゃんに聞くと、「ごめん。かわいい」との答えが返ってきた。正直カップを見た瞬間、僕の中のYちゃんが「負けた……!」と叫んでいた。Yちゃん好みの真髄といったプレゼントを前に、Nちゃん恐るべし、と思う。この猫ちゃんじゃしょうがない。
 明日で付き合って3周年。4年目の誕生日にはNちゃんに負けねえプレゼントを用意せねば。つーかNちゃん、僕にも誕生日プレゼントくれねえかなあ。主に猫系の何かを。

081117

 しつこい風邪もようやく治ったらしく、起きたらすっかり快調になっていた。久しぶりの電車。通勤ラッシュ。人ごみにもまれながら、マジ休みてえ。と思う。なぜ、治ってしまったんだろう……不謹慎なことを思っても後の祭り。しぶしぶ学校へ。
 研究室の先輩と会えて楽しかった。みんなで北部食堂でラーメンを食べ、これまた久しぶりにクリーンルームへ。実験だ。半導体たちよ、元気にしてたかね。
 実験を始める。しかし、どうも装置の使い勝手が悪い。何というか、記録される各系統の圧力だとかが、いつもと若干違う。何ぞ?
 先輩に聞くと、先週、僕のいない間に大規模な停電が起きたらしく、クリーンルームの装置たちは、どれも相応のダメージを受けた模様。というのも、たいがいの装置が装置内の真空度を保つために、ずっと電源が入れっぱなしになっているのだ。その電源が急に切れたとなると、不具合を生じてしまう。真空ポンプを起動しっぱなしにしている研究室の装置などは、特にダメージをうけたようだ。先生たちが集まって、深刻そうにウンウン唸っている。真空系内が油まみれになったか、ターボポンプの羽がべきべきに折れたか……
 幸い僕の愛機は、怠惰なことに電源を切ってあったので実害はなかった。ので、停電の影響は少なそう。久しぶりの起動なので、ちょっとだけ機嫌が悪いのか。人もモノも、適度に使わないとダメになるとか、森博嗣が言ってたけど、ホントだよなーとか思う。
 手間取りながらも実験。待ち時間に病気の間たまっていた日記を書く。今日は装置が不安定だったので、装置を見張りつつ、クリーンルームで書いた。自分のノートにボールペンで。最近はなんにでも文章を書く。土日のバイト中も、メモ用紙の裏にエッセイみたいなのを書いてた。いつでも思いついたときに書くってのが楽しいよな。
 実験終了。装置を立ち下げて帰るかっと。といってもこの装置の立ち下げがまためんどくさい。熱くなったところが冷えるまで待ってたり、流してたガスを処理したりと色々手順がある。めんどくせえーとか思いながら各種手続きを無心でこなす。
 終了。これで帰れると思った。ところがどっこい、ある部分の電源を切り忘れていた。そのせいで、そこの熱が冷えるまで1時間弱も待たねばならないという珍事。普段なら、ほかの作業と並行させてそこは処理してるのに、今日に限って忘れていた。時刻は夜の8時半。冷やすの1時間。そっからまた処理30分。10時帰りかよ……
 やっぱり人もモノも適度に使わなきゃだなと思った。休み明けで頭ボケボケだ。
 明日は早めに帰って小説を書こう。

081114

 朝起きたら未だ体調がすぐれず、微熱気味。原因は明らかに前日のセフィロス戦にあるのだが、もはや何も言うまい。
 昼までぶっ倒れるように寝て、起きたあと前日読み終えた「14歳のエンゲージ」を読み返す。が、面白くない。小説を二度三度読むと、新たな発見があって面白いヨーなどと人は言うが、それは間をおいて読むからいいのであって、連日にわたって再読するのは苦痛以外の何者でもない。すぐに飽きて小説を投げ捨てる。再び就寝。ぐー。
 すると、頭上に高校のときの図書貸し出しカードが落ちてきた。なぜ。今。貸し出しカード? 懐かしいカードに僕の名前が書かれているのを眺める。カードのタイトル部分には「14歳のエンゲージ」。……? ああ!?
 はっとしてさっき投げ捨てた「14歳のエンゲージ」に飛びついて、裏表紙を見やる。懐かしい「○○高校」の文字。これ……高校の図書室の本じゃん。なんと5年にわたる延滞である。図書委員の目をくぐりぬけ、しれっと本を借りパクしてる。……これがゲオの延滞だったら、偉いことになるとこだった。あぶねえ。いや、そういう問題じゃない。
 いずれにせよ、この本は返しておかないとダメなので、近日中に母校に帰しに行く予定。部活の後輩を指導に行くでもなく、世話になった先生に挨拶に行くでもなく、ただ図書の本を返しに行くためだけに5年ぶりに母校を訪れる卒業生ってどうなの? 馬鹿なの?
 もし僕が借りパクしていた五年間のうちに「14歳のエンゲージ」を読みたかった後輩がいたとしたら、本当に申し訳ない。それを思えば、この程度の辱めは受けて然るべきなのかもしれない。
 さらに図書カードを見てみると、面白いものを見つけた。貸し出し者氏名の欄。僕の名前の上に、大学一年のときに付き合ってたHさんの名前があった。何という「耳を澄ませば」。
 当然僕は、「オレ、おまえより先に図書カードに名前書くため、ずいぶん本読んだんだからな……」という甘酸っぱい思惑などなく、同じ高校だったというものの、その当時はHさんとは会ったこともなかったので、単なる偶然なのだが、こういった形でHさんの名前を再び見るとは驚きだった。
 とともに、Hさんとの甘酸っぱいどころか、どす黒い記憶の波が僕の胸を押しつぶしてきたので、やはりこの本はキチンと返却せねばならんという気持ちになった。