ウサギが食べられる雑草をイナカで採取して実際に食べてみた

うさぎが食べる雑草を実際に食べてみた

17-1_うおお
2_あほ面Y平_tori
どうも、Y平です。
写真からお察しのようにメンタルがアレしたので実家で休養中です。
休養して最初の1週間ぐらいは仕事に行かなくていいという解放感から
精一杯エンジョイしてたのですが、1週間超えたあたりでものすごい虚無感に襲われました。
ニートも1週間すれば危機感が沸くとはよく言ったものですが気持ちものすごいわかる。
本当に本当にやることがない。
あまりにやることがないので、昼間のワイドショーを見ながら
スマホで写真を見つつ、あのときはよかった。このときは輝いていた。などと過去の栄光に
想いをはせていたところ、一枚の写真を見つけました。
2-1_野草を食べるウサギ
うちの愛兔、茶太郎の写真でした。
実にうまそうに雑草を食べてます。あのときは雑草をしきつめたゴザに飛んでいき
イキイキと雑草を食べてたなあなどと思っているとふと、疑問が浮かんできました。
雑草って本当においしいのかな?
ウサギは他の動物と比べると比較的グルメと言われています。
そのグルメウサギが旨そうに食べるんだから、
もしかしたら普段気にもとめない雑草に
人間の知らない至高の味が秘められているかもしれません。
ということでウサギが食べる雑草を実際に食べてみました。

雑草を食べるための3つのルール

1. ウサギが食べれるようなコンディションのよい草を探す。
クスリや犬の糞尿がついてそうな場所のはNG
2. 人の土地で雑草を取る際は必ず許可を取る
3. 取った雑草は残さず食べる

雑草を探そう

3_田舎1
幸いうちの実家はとんでもないイナカなので、雑草探しにはうってつけの場所といえます。
散歩がてら実家付近をブラブラと歩きます。ちなみに平日の昼間です。
30のオッサンがビニール袋片手にブラブラしてるさまは中々のアレです。
ご近所に変な噂が立たないように祈りつつ歩いていると
さっそく第一雑草を発見しました。
5_ペンペン草
ペンペン草です。
6_枯れたペンペン草
アスファルトにおいてみるとよく分かりますが、黄色いです。
農家を営む方が多いので、田園のそばは軒並み草枯らしがまかれていて
枯れた雑草しかありません。
9_草からしの威力2
10_草からしの威力
枯れて佇む雑草が実に哀愁を漂わせます。
一見緑豊かに見えるイナカですが、
人間の都合によって根こそぎ枯れさせられ、死んだ枯草たちでいっぱいでした。
しばらく歩いているとこんなものも。
11_産業廃棄物1
12_産業廃棄物2
13_産業廃棄物3
車は意味が分からない。
打ち捨てられ草ぼうぼうになった空き地には不法投棄された廃棄物の山。
なんなんでしょう。
緑豊かだったはずのイナカはかりそめの緑にあふれ、
こうしてダークサイドな部分をまざまざと僕に見せつけてきます。
14_阿部総理
「地方こそ成長の主役」
と自信を持っておっしゃる総理の目に、こうした地方の現状は届いているのでしょうか。
こうしてややダウナーな気分で歩いていると、
それでも雑草たちは強く強く生きていました。
15_道端のシロツメクサ
シロツメクサ。
16_道端のナズナ
スギナ。
17_道端のヨモギ
ヨモギ。
草枯らしの魔手から逃れた雑草がけなげに揺れています。
雑草魂とはまさにこのことと勇気づけられる想い。
さて、では摘むかと手を伸ばしてふと気が付きました。
ここは犬の散歩コースのメッカなのです。
幼少期、犬を飼っていた僕もこの田んぼのあぜ道で犬におしっこさせたりしてました。
そう、この辺の雑草は犬の糞尿がついている可能性が高い。
あいにく僕にスカトロの趣味はありませんし、
犬の糞を人間が食べたらどうなるか分かったもんじゃありません。
試しにgoogle先生に「犬の糞 人間 食べたら どうなる」と質問してみたところ
回虫が寄生し失明の恐れがある
との回答をいただきました。こええ。
さて困った。
田んぼのあぜ道がダメとなると、できるだけ犬の散歩コースとは離れた
しかも草枯らしがまかれていないという条件の場所を探す必要があります。
19_私有地の畑
ふと見回すと、私有地と思われる畑が目によぎりました。
これしかない。ポンと手を打った僕は次の手に出ます。

人んちの雑草を分けてもらおう

20_突撃取材1
目の前には民家。その民家の手前の駐車場と思われるところにシロツメクサが敷き詰められています。
あの家の人に頼み込んで、シロツメクサをゲットしましょう。
時刻は平日の14時。一息ついた主婦たちがワイドショーを見てる時間です。
出てくれる可能性が高い。僕は飛び込み営業の気持ちでインターホンを押しました。
ピンポーン。
20_突撃取材1_アイコン
はい。
インターホンにはカメラがついていました。
やべえ、スーツでこれば良かったなどと思案しつつ挨拶をする。
0_Y平アイコン
どうもこんにちはー。わたくしWebライターのY平と申しますー。
20_突撃取材1_アイコン
はあ!?
妥当な反応。
平日の昼間、
よくわからないオッサンがビニル片手に訪問してきたらこうもなります。
ここで心が折れたら企画が成立しないので粘ります。
0_Y平アイコン
あのですね。今ウサギが食べられる雑草特集をやってましてー。
20_突撃取材1_アイコン
うち、ウサギは飼ってません
0_Y平アイコン
いえいえ、セールスとかじゃなくて。
実はお宅の駐車場にいーいシロツメクサが生えてまして。
できれば、それを少し分けていただけたらと思いまして。

僕の人生の中で「いーいシロツメクサ」という単語を発する機会が
来るとはこの日まで思いませんでしたが、どうにかこうにか
セールスではない、ただ雑草が欲しいだけだということを理解してもらえました。
そして雑草が欲しいだけってどういう状況? と自答し始めてるところで奥さんから
残念な回答が。
20_突撃取材1_アイコン
あそこの駐車場、うちの土地じゃないんだわ。
どうやら別の人が持っている土地で、その土地が誰のものかもわからないとのこと。
ちなみに車も別の人のものみたい。
どうにか連絡先わからないっすかねと尋ねるも、分からないと。
というかそもそも良く分からないおっさんに連絡先を教えてくれるはずもない。
0_Y平アイコン
どうもー、お時間いただきありがとうございましたー
精一杯の笑顔でインターホンのカメラに向うも、インターホンの先は無言。
明らかに不審がられており、警察を呼ばれてはたまらんと逃げるように民家を後にしました。
これすごい心折れる企画では?
軽い気持ちで雑草食べればいいやと思っていた自分をなぐりたい。
その後4件民家を回るもなかなか雑草を取らせてくれない。
当たり前だ。いきなり押しかけてきて「お宅の雑草とらせてください」とか
来たら完全にキチガイである。
ひどいのになると「WebライターのY平と申します」と言った瞬間ガチャ切りされることもあった。
よっぽどどこかの大学の研究でーとか嘘をつこうかと思ったけど、
嘘をついた時点で犯罪レベルが格段に上がるので、
Webライターと自称するしかなかった。
それにしてもWebライターのY平って胡散臭さ半端ねえ。
21_突撃取材2
その後、昼間なのに雨戸閉めて人気のない民家を訪ねたり。
22_神社
神社で「どうか雑草を取らせてくれますように」とお参りしつつさらに歩く。
25_田舎の路地
26_突撃取材3
路地を抜けるととある民家にたどりついた。
母屋なんかもあり、その軒先には乾いた玉ねぎがつるされている。
農家の可能性が高い。農家なら畑やらあそばされた土地などを持っている可能性が高い。
これは見込めるかもと思い、ドキドキしながら玄関をたたく。
ダンダンダンダン!
0_Y平アイコン
すいませーん!
27_突撃取材3-1_アイコン
なんしとん!?
振り返ると僕の背後に農作業姿のおばあちゃんがいた。
ビビった。気配まったくなかった。気づいたら僕の後ろにいた。
動揺しつつもフェイスtoフェイスで話ができる機会なんて滅多にない。
これ逃したら最後だぞという思いで
興奮する心を抑えつつ話し始める。
0_Y平アイコン
すみません。わたくしWebライターのY平――
27_突撃取材3-1_アイコン
あー!! いらん! いらん!
0_Y平アイコン
あー違います違います! セールスとかじゃなくって!
今ウサギが食べれる雑草を探していて。

27_突撃取材3-1_アイコン
ああん!? ざっそぉ!?
0_Y平アイコン
はい! できればおばあちゃんのところに生えてる雑草をとらせてもらいたいんですけど
その後も不審げに僕をがなり立てるおばあちゃんに、どうにか来意を伝えると
おばあちゃん、ようやく害はないと理解してくれたのか、おばあちゃんの畑に案内してくれる。
27_突撃取材3-1
27_突撃取材3-1_アイコン
ほれ! ここになんぼでも生えとるで、なんぼでも持ってけぇ!
0_Y平アイコン
うわあ! ありがとうございます!
この畑、なんでもおばあちゃんが億劫で草枯らしをまいていないらしく、
畑の奥に行けば犬の糞尿もない。まさしく僕が渇望した条件だった。
おばあちゃんは常に怒鳴り声で僕に話しかけてきた。
27_突撃取材3-1_アイコン
何の雑草が欲しいんだぁ!?
0_Y平アイコン
えっと、たんぽぽとかナズナとか
27_突撃取材3-1_アイコン
たんぽぽぉ!? ほれ、ここにあるで、なんぼでも持ってけぇ!!
0_Y平アイコン
おお!!!! やった! ヨモギとかもありますかね?
怒鳴り散らすおばあちゃんだったが、僕が雑草の名前を口にするたびに
一緒に雑草を探してくれた。シロツメクサを見つけた時は一緒になって喜び、
お決まりの「なんぼでも持ってけぇ!」が炸裂した。
おばあちゃん、この土地でずっと畑仕事をして生計を立てているらしく
今年で90になると言う。元気すぎる。何年ぐらい畑仕事やってるんですか? と尋ねると
「ずっとだぁ! ずっと!」とかなりの大声で返事してきた。
すでにかなりの家で不審者扱いされてきた僕にとって、
おばあちゃんはまさに救いの女神だった。
僕はちょっと目を潤ませながら感謝した。

0_Y平アイコン おばあちゃん! どうも本当にありがとうございました!
27_突撃取材3-1_アイコン なーにが! 雑草がそんなに嬉しいんか!? 変なやっちゃなーなーんぼでもあるで、わしが礼言いたいぐらいだわ!

おばあちゃんは笑顔で僕を見送ると最後に「がんばれよーう!」と
声をかけてきた。
30。休職中の身としてはおばあちゃんの言葉が涙腺にしみた。

雑草を食べる準備をしよう

28_取れ高よし
さて、これで終わっとけば、おばあちゃんとのハートウォーミングな出会いで
大団円なんですがそうは行かない。なにしろこの雑草を食わねばならない。
「もうおばあちゃんだけで十分じゃない」と弱る心がありますが、
ここで負けてはWebライターと自称した人々に嘘をついたことになる。
意を決し、雑草を食べるための準備をします。
29_雑草を洗う
まずは雑草についた汚れを流水で落とし、水道水に1日ほど漬け込む。
ええ? それだけでいいのと思う人もいるかもしれませんが、
水道水には塩素が入っているので、この塩素が殺菌効果を出してくれます。
よく金魚水槽に新しい水草を導入するときに使う手です。
まさかこの手を自分に適用する日が来るとは思ってなかったけど。
30_雑草を乾かす
新聞紙で水気を取り、さらに1日乾燥させる。
ウサギは水分に弱いので、なるだけ乾燥させるのがミソ。
まあ食べるの僕だけど。
一通り準備を終えたら最後に、毒草がないか選別を行っておく。
おばあちゃんにどやされながら夢中で採ったのだけど、
何の雑草か分からないものがいくつか混じっていた。
ためしにパッチテストをしたところ明らかに毒性があるもの
含まれていたので怖くなって分からないものは全部捨てた。
毒草はマジでその辺に生えてるからみんなも注意しろよな!

雑草を食べよう

それでは念願の実食です。
ここでおしゃれな検証記事であれば、料理研究家の○○さんにお越しいただいて
おひたしやら天ぷらやらにするところですが、
そういうのは必要ありません。生で食べます。だってウサギは生で食べるから。
そんなわけでいってみましょう。全部で6品目
記念すべき第一品目はスギナです。
2_ナズナ
10_ナズナ
うん! 美味い!
なんだこれ普通に食べれる! 青々しい匂いがむしろ爽快で味は水菜のよう。
和風ドレッシングと一緒に食卓に上がったらうめえうめえ言いながら平らげるレベル。
調べてみたらスギナは普通にクックパッドでもいろいろレシピ出てきた。
幸先いい。スギナは美味い!
お次はクズノハ。
3_くずのは
こちらはいざ食べようとしたところ
0.5mmぐらいの虫がパラパラ落ちてきて、食べる前から不味い暗喩があった。
まあでも虫がつく野菜は美味いと言うし、我慢して口に運んでみる。
11_くずのは
苦ぇ!
食感はパリパリしていて、冬の落ち葉をそのまま口に運んだ感じ。
味はちょっと苦すぎるカイワレみたいな。食感、味ともにこれは微妙。
クズノハは微妙!
さあどんどん行ってみましょう。
お次は大本命、ヨモギです。
4_ヨモギ
ヨモギはね。餅になるぐらいだしね。美味いに違いない。
ひゃっはーとなる自分を想像しつつヨモギをつかんだところ、
でっかい蜘蛛の死骸が落ちてきたのでまたしても何か不穏な空気が。
12_ヨモギ
不味い。
俺いったい何をやってるんだろうと人生見つめなおすレベルの不味さ
香りは良い。ヨモギもちのいい香りがするんですが、
それを覆す苦さがやばい。
ヨモギのレシピを調べたところ、ヨモギ入りパンとか、ヨモギ入り豆腐とか
どれも香り付けのために使われていて、ヨモギ単体で食うものではないらしい。
あくまで風味を高める要素として入れるもの。
カレーが好きだからってカレーのスパイスをそのまま食べるやつがいないように
ヨモギも単体で食べるものではない。
結論、ヨモギは単体だとやばい。
13_グレープジュース
ヨモギに完全に舌がやられたので、グレープジュースでリセットする。
寿司屋で白身食べる前にガリ食うみたいな。
そんなかんじで、痺れた舌をいやす。
舌をリセットして次に向うは笹です。
5_笹
笹て。もう固さから言って食べるもんじゃない。
草食動物が強力な歯でゴリゴリすりつぶして食べるやつだろ。
14_笹
固え。
分かってたけれども固い。茎は口の中でボキボキ折れ、
葉は変な繊維が硬くて噛みきれない。味はない。
総合してみると爪楊枝食ってるみたい。
笹が噛みきれないでテンション下がったまま次に突入します。
お次はこちらも大本命タンポポ。
6_たんぽぽ
タンポポはウサギ界でも至高の逸品らしく、
全国のうさぎさんがこぞってタンポポ大好きといろんなブログで自称しております。
であれば楽しみ。ここは気合を入れて食べることにします。
15_たんぽぽ
一瞬美味い! が、後で強烈な苦みが!
おいしいと思った。が、それはひいき目みたいなものがあったと思う。
みんなが美味いと言うから無理やり美味いと思おうとするあの感じ。
食べログで不正に評価された店に行った時のような虚無感。
これをおいしいと思えるうさぎさんとはやはり味覚の次元が違うのだと悟る。
結論、タンポポは一瞬だけ美味い!
最後はシロツメクサです。
8_しろつめくさ
個人的にこれが一番食前にくるものがあった。
シロツメクサの花をつかんだとき、ぶわさっと6、7匹の虫が落ちてきて
思わず声あげたもん。これ絶対虫も一緒に食べちゃうじゃん。
暗鬱な気分で、それでもシロツメクサを口に運ぶ。
16_シロツメクサ
美味!!!
なにこれびっくりした。花の香りがかなり良くて、食感はホウレンソウのおひたしのような感じ。
苦みなどもなく、なんと形容したらよいか分からない初めての味だった。
香りがいいから食が進む進む。おひたしにしたら爆ウマ間違いなし。
結論、シロツメクサは美味い! 特に花が!

雑草を食べてみた まとめ

いやー、通報一歩手前まで頑張って採取した雑草は
総じて食べられるものでした。たぶん、笹以外は適切な調理をすれば
結構いい味になると思います。今回の特集を振り返ってみますと下記のような感じ。
・イナカは草枯らしと産廃がうずまいている
・イナカで「雑草下さい」と各家を歩き回ると不審者扱いされる
・おばあちゃんは優しい
・ヨモギはスパイス。単体で食うと不味い
・シロツメクサはひくぐらい美味い
・笹は固い

皆さんも、通勤通学途中、ふっと脇道に目をやってみてください。
普段気にも留めない雑草ですが、そこには美味い物があるんだなあと
ぼんやり感じていただけると幸いです。
もしこの記事を見て雑草を食べようという方がいらっしゃいましたら、
スマホに野草図鑑入れて散歩がてら郊外に出てみると面白いかもしれませんよ。
それではまた次回! ばいばい!

雑草を食べるための3つのルール(再掲)

1. ウサギが食べれるようなコンディションのよい草を探す。
クスリや犬の糞尿がついてそうな場所のはNG
2. 人の土地で雑草を取る際は必ず許可を取る
3. 取った雑草は残さず食べる

3. 取った雑草は残さず食べる
3. 取った雑草は残さず食べる
17-1_うおお
17-2_うおお
17_うおお
18_うおお
19_うおお
20_うおお
21_うおお
21_うおお - コピー
21_うおお - コピー (2)
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21_うおお - コピー (4)

雑草を食べてみたまとめ(再掲)
・レタスでもこんなに食べたことないのになぜ雑草を
・笹のせいで口中血だらけに
・ヨモギは地獄
・グレープジュースが途中でなくなる
・ちょっと良く分からない虫とかも入ってる
・シロツメクサをつつくと大量の虫がわいてきた
・蜘蛛が口の中に
・大量に食べると飽きる
・大量に食べるとやばい方面のウンコがでる

以上。二度と食べない。

たばこが俺で、俺がたばこで

死んだ目でタバコを吸う人たち
 タバコが大嫌いである。巻き紙の燃える匂いはけむたくて、服にも不健康な臭気が付着してまるで悪臭の鎧を着ているかの様な心持ちがしてはなはだ不快である。
 何より、タバコを吸った後の自分の吐く息。アンモニア臭というか生ゴミというか。あの臭いのせいで俺は妻にキスする事すらためらう。愛する妻を存分に愛でられない苦しみ。タバコの鎧のせいで近づくのも嫌がられそうで怖い。夫婦関係は冷えきっていく。
 ではなぜ今俺はタバコを吸っているのか。俺がタバコだからだ。
 初めてタバコを吸ったのは中学のときだった。野球部の後輩に指折りの悪いのがいて、「Y平もどう?」と勧めてきたのだ。
 「てめー! その口の聞き方はなんだ!!」と怒鳴りたかった。後輩のくせにあだ名で呼んでくる無礼な態度に腹を立てた。でも相手は後輩とは言え不良。チキンな俺は、「ああ、それじゃあ一本くれるかな?」なんてスラムダンクで言えば木暮のような優しい笑みを浮かべながら一本もらった。
 マルボロだった。「吸いながら火をつけるんだよ」とこれまた先輩に向かってため口。完全になめられている。が、しかしこの一本を吸う事に意味がある。マジメでつまんねー先輩だと思ってたY平が、後輩の悪い誘いにも応じてくれる包容力のあるY平にステップアップ。一生ついて行きます! 的展開にならんとも限らん。なので吸った。
 灰の味がした。「げほっげほっげほ!!」と激しく咳き込む。なんだこれは。嗜好品っていうレベルじゃねーぞ。ひとしきり胸をたたきながらゲホゲホやっていると、後輩がにやけがおで言った。「まだ早かったっすかね?」
 ぶん殴りたかった。あと背が20センチ高くて、筋肉ムキムキだったとしたら。
 二度目の挑戦は大学生の頃だった。その頃僕はコンビニのバイトリーダー(笑)をやっていた。一緒にバイトに入った女子高生と休憩室で雑談をしていたときだ。女はおもむろにクールブーストを取り出すと、プカプカやり始めた。女子高生が馴れた手つきでタバコを吸い始めたのには内心ぎょっとした。場末のスナックで足を組みながらスパーッとやるママのように女は煙を吐き出した。
 思い返してみればその様はタバコを楽しむといったよりは、タバコを吸っている自分を楽しんでいるようだった。かっこつけだ。女子高生は俺に挑発めいた目を向けている。「何? 未成年がタバコ吸ったぐらいで騒ぐの?」と言った風情。こいつはかつてのガチヤンキー後輩とは違う。比較的善良でか弱い女子高生、でもちょっとレールから外れてみたい。いわばニワカである。ふかしタバコでもあった。ちょろい。かのようなものに何も言えないのであればそれは俺の敗北である。
 「一本ちょうだい」
 精神的敗北感を覚えながら、俺はクールブーストに火をつけた。肺まで一気に煙を吸い込む。目の前がやや黄色黒くなる。ヤニクラだ。しかし咳き込まなかった。それにメンソールだからか灰っぽくないのもよかった。俺は上機嫌で女子高生とタバコを吸いながら、「今日のピザまん余るといいねえ。持ち帰るから」だなんて他愛のない話をしていた。
 それから自分で買ってタバコを吸い始めた。本数は1日3本と決まっていた。何かの小説の中で主人公がそう決めていたからだ。いかにもファッション的でいい。友達と喋ってるときに、「あ、おれちょっとタバコ」といって席を立つのも誇らしかった。そう、あの時の俺はまだタバコではなかった。
 社会人になって数年経った。社会人とは不思議なもので、タバコを吸いに席を立っても特に文句は言われなかった。それどころか先輩など「休憩する」とか言って堂々とタバコを吸いに行った。タバコなら休憩してもいいんだと思った。
 そして今。俺は何をするにもタバコが手放せなくなった。メール1本打ったらタバコ、10行コーディングしたらタバコ、電話をとったらタバコ、皿洗いをしたらタバコ、金魚にエサをやったらタバコ、風呂掃除をしたらタバコ、起きたらタバコ、寝る前にタバコ、寝付きがよくないとタバコ、タバコタバコタバコ。
 そうして俺はタバコになった。もはや俺の本体はタバコである。タバコが俺を生かそうとしてくる。もしあなたが俺が吸ってるタバコをとりあげて踏みつぶしたとしたら俺は一時的に死ぬだろう。しかし我が家に戻ればカートンの山。俺が死のうと第二、第三のタバコ(俺)があなたを不快な煙地獄にひきずりこむ。その中心、もやもやとタバコのもやで包まれた中心で。ホームレスみたいなタバコ臭を放ちながら俺は叫ぶ。タバコを口にくわえながら叫んでいる。「俺(タバコ)を殺してくれ!」

意外に手がかかる!?ウサギの1日の世話に密着

こんにちは
 こんにちは、茶太郎です。今回は僕の下僕こと人間が、どのように僕の世話をしているか紹介する。
 ちなみに僕のスペックは下記。
種類:ホーランドロップイヤー
性別:♂
年齢:5ヶ月弱
 ホーランドロップなのに耳が立ち気味なのは仕様だ。
僕の一軒家1
 これが我がマイホーム。
僕の一軒家2
 トイレ、給水器、ペレット入れ、牧草BOX、休息マットの1Rだ。狭くて可哀想とか殺風景だとか一見さんは抜かすが、大きなお世話。僕たちウサギ族は自分の匂いがついた安心できる場所ならどこだってよい。

朝、起きたらトイレを掃除しろ

トイレを変えろ
 朝起きたら何をするか。歯磨き? 顔を洗う? 違う。お前ら(下僕)のことは後回し。まずは僕のトイレ砂を変えろ。夜のうちにボッコボコにウンコしてっから。尿石バリバリついてっから。
 くっせえトイレ砂を捨てたら、トイレをティッシュで拭いて綺麗にしろ。2週間に一回は水洗いをすること。さぼったら足ダンするぞ。2回するぞ。

すみやかに牧草を足せ

牧草はひとつかみ
 トイレを綺麗にしたらお次は牧草を足せ。牧草は1歳未満ならひとつかみでいい。
牧草with乾燥剤
 保存にも気を使え。乾燥剤を入れてしけらないようにしておけ。これサボるとすぐ分かるんだから。しけってんなってすぐ分かるんだから。しけってたらどうするって? 足ダンだよ。

ペレットとエンハンサー、乳酸菌を忘れるな

ペレット
 ペレットは僕の主食だ。だいたい器の6割ぐらいのラインでもりっと盛る事。
エンハンサー
 さらにペレットの上からエンハンサーをかける。エンハンサーは僕にとってのオカズの様なもの。お前らだって朝飯に白飯だけ出てきたらイヤだろう? すき屋行って白飯だけ食べるヤツがいるか? オカズ付きの朝定食食べるでしょ? だからエンハンサー。ね。お願いね。
エンハンサーはティースプーン1ぱい
 ティースプーン1杯ぐらいが目安。ほんと言うともっと欲しいけどほら、僕、健康に気を使ってるから。ピザばっかり食ってるアメリカのデブみたいになりたくないから。
乳酸菌
 最後に乳酸菌だ。
5つぶ
 だいたいこのぐらいでいい。5本ぐらい。僕の完璧なブレックファーストは以上だ。
 全部そろってようやく僕の一日が始まる。ちなみに毎日必ず同じ時刻にこれ、用意しないと僕怒るから。僕で言えば7時。平日だろうと休日だろうと7時だから。関係ないから。君たちの都合とか関係ないから。君たちの親が死のうと7時に食べるから。覚えておいて。

夜、仕事から帰ってきても気を抜くな

 夜、陰気な顔をして君たちが仕事から帰ってくる。まずは料理でも〜って? 違う。君たちがやらなければならないのは朝と同じくトイレ掃除、ペレット、エンハンサー、乳酸菌のコンボだ。後回しにして料理とかやり出したら僕、許さないから。お前らの飯<僕の世話だから。ウサギを飼うってそういうことだから。
給水器
 ついでに水も替えておいて。給水器は水で軽くゆすいで、水気をよく拭き取っておくように。僕、水びったびたの給水器とかヤダから。ウサギは水に弱いから。分かるでしょう? ねえ。

ペットシーツも替えろ

ペットシーツを変えろ
 ケージの下のトレイのペットシーツも替えとくれよ。ウンコいっぱい落ちてるからさ。まあペットシーツじゃなくてウチの場合は新聞紙だけどね。僕、高貴なウサギなんでオシッコとかこぼさないからこれでいいんですわ。まあなかにはこぼしちゃうウサ公もいるみたいだけど、僕、そういうレベルじゃないんで。ペットシーツとか家計にもアレなんで。いいウサギでしょう? 僕。

グルーミングは嫌だけど念入りにやれ

 21時。グルーミングの時間。イヤだけどこれは甘んじて受け入れなきゃならない。僕、毛繕いするときに毛飲み込むんで。ウサギって吐けないから胃腸で毛が詰まって毛球症ってのになるらしい。
膝だっこ
 だからしゃーなしで膝だっこ。まずは頭の頂点から体の毛並みに沿って。
仰向けだっこ
 仰向けだっこもさせてやる。腹や胸の毛もとらないといけないからね。
 しかし屈辱。この体勢完璧に服従のポーズじゃないですか。野生だったら100%捕食される体勢じゃないですか。でも、させてやる。毛球症で死ぬのはイヤだ。しのごの言ってる場合じゃない。ここは我慢する。このグルーミングが長命の秘訣。敗北ではない戦略的撤退だ。念入りにやるがいい。
これだけとれました
 撮れ高良し。しかしこれが僕の胃袋にはいるところだったと思うとぞっとする。

へやんぽは安全な場所にしろ

へやんぽ開始
 グルーミングが終わったらへやんぽ。スペースをサークルで囲って準備しろ。コードとか、布とか、僕がかじりそうなものは全部とっぱらうのを忘れるな。かじるなって言われても無理な話。かじるのは僕の趣味みたいなもんだ。お前らがこうるさい音楽とかいうのを聴いて心を落ち着かせるのと等しい。No かじり No Life。

撫でろ。そして愛でろ

愛でろ、そして撫でろ
 へやんぽ中はいちいち構ったりしなくていい。構って欲しかったら自分で行くから。こっちのタイミングなんで。あなたたちのタイミングじゃないんで。

寝る前にアクティブEを食わせろ

 さあ23時だ。寝る時間だ。では歯を磨いて、お休み。ああん? ダン! お前ら一番大事なこと忘れてる。
アクティブE
 アクティブEだ。毛球症予防の薬。これを飲むと、飲み込んだ毛をとかしてくれるらしい。
アクティブEは2粒
 就寝前に2粒。「毛球症は命に関わるから、生後4ヶ月過ぎたら必ずあげなきゃ駄目よ! 絶対よ!」とブリーダーさんが強調してた。ちなみにうちの下僕どもは時々アクティブEを忘れて寝る事がある。けしからん。
 いかがだったろうか。こうして振り返ってみると、うちの下僕どもは時々手を抜くものの、なかなかやってくれてると思う。まあ僕らウサギ属は人間に媚びたりしないんで、いくら世話してくれるっつってもすぐには「大好き!」とはならないですがね。まあでもよくやってくれてるんで時々、
なでさせてやってる
 こうして撫でさせてやるようにしてます。はい。飼い主をしつけるのも大変ですな。まったく。

5月14日 ギバちゃんに復職の書類を書いてもらう

 昨夜は深夜1時に就寝。起きたのが9時。気分はやや悪い。今日は通院の日だからであろう。最近分かってきたが、何かイベントごとがあるとめんどくさくなるらしい。これは病気ではなく性質なのかもしれない。
 10時。重い腰を上げて長野病院へ。この病院、予約とかないのでひたすら待ち時間が長い。ヨッピーさんの記事などを見て時間をつぶす。
 診察は受付してから30分後。おなじみのギバちゃん似の主治医とご対面。相変わらずわきががすごい。でもかっこいい。渋いんだよね。世間話をしながら、会社からもらった復職個人診断書を渡す。主治医の見解を書いてもらう。ギバちゃん、少しめんどくさそう。その場でばばーっと書くと診断書と言う形で渡してきた。これを産業伊に渡して面談したら祝、復職である。祝、なのかね? もうちょい長い春休みを満喫したい気もしている。
 帰ったらセイコーマートのお弁当などを食べつつ落語を聴く。立川談志の「子ほめ」。シャドーイングを試みるがやはりうまくいかない。奴ら僕の2倍くらいのスピードで喋るものだからやはり芸人は凄い。ただ、シャドーイングをやるたびに確実にうまくなっているのでやればやるほど追いついている感じはする。
 落語シナリオを書こうと思ったが疲れが出たのかそのまま6時まで昼寝。今日は気力がわかなかった。こんなんで復職できるだろうか。産業医面談は上司と電話したところ明日ということになった。急だ。仕様変更も急なれば、復職手続きも急なのがウチの会社の性。怖い怖い。