茶太郎、性にめざめる

こんにちは150506
 こんにちは、茶太郎です。耳たれウサギであるはずのホーランドロップですが最近耳が立ってきました。主人夫婦など、僕を見ては「お前は本当にホーランドロップなのかい?」だなんて疑惑の念を向けてきますがあいつらは分かってない。僕はまちがいなく高貴な生まれです。父はアメリカのなんとか大会とかいうところで2位を受賞していますし、血統書もあります。耳にはその高貴たるを証明するための血統書IDのタトゥーもこしらえています。耳が立っていることだけをつかまえて「お前はネザーランドドワーフかなにかだね」だなんて揶揄するのは、漢室の流れを汲む劉備玄得をもってただの筵売りなどと揶揄する俗人と等しいようなものです。あいつらは自分の無知ぶりを分かっていません。
やわらかボール
 閑話休題。今日は主人が僕用のおもちゃを買ってきたようです。DAISOで売ってる柔かボールとかいうやつです。
やわらかボール2
 といっても僕は子供ではありませんので(生後4ヶ月といえば人間族の中ではちょうど思春期にあたるようです。しかし僕はもう立派な大人だと確信しており、三国志で例えるならば、劉備が徐州でひとはたあげたくらいの立志ぷり程度はあると思っております)、いささかこのような幼稚なボールでもって僕をたらしこめると思っている主人らの浅はかさには辟易するばかりであります。
なんだなんだ
 とはいえここは好奇心と気力の塊の僕。いちおうは念入りにこの貢ぎ物をあらためたいと思います。ふむふむ。匂いはない、か。
なんだなんだ2
 ううむ。形もなかなか。うん? あれ、なんだか変な気分になってきました。内なる僕の青春のエネルギィとでもいいましょうか。幼稚なボールがどこか扇情的な形をしていることに気づいたのです。
なんだなんだ3
 性に溺れる者はやがて死地に追いやられます。博学な僕がまたしても三国志で例えるならば、曹操は絶世の美女鄒氏に没頭するあまり、その隙を張繡につけこまれ、死を垣間見、なんとか生きながらえるも股肱の臣下であった典韋を失っております。僕はその曹操の振る舞いを吉川英治の三国志で読んだ際、こうはなるまいと自戒をいたしておりました。が、今僕が向き合っているこの感情は、明らかに生臭い性というヤツでありました。おろかなることに僕はこの柔らかボールに鄒氏の面影を見ていたのです。もはや止められませんでした。
マウンティング1
 ああああああああああああああああああああああああああああ! カクカクカクカクカクカク!
マウンティング2
 ぎえええええええええええええええええ! カクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカクカク!
賢者モード
 後悔。ことが終わった今、僕は一時の平静を取り戻しておりました。しかし人間の目にはなるほど僕がくつろいでいるように見えますが、実のところ僕は泣いていたのです。僕は曹操よろしく僕の中の典韋を失っておりました。性と言う激情にながされてしまった屈辱、自身の未熟さ。ウサギ族に涙を流す機能はありませんが、僕が人間であれば失った典韋をなげき悲しむ曹操と同じく、大粒の涙を流していた事でありましょう。そんな僕を見て、主人がこう話しかけてきました。
「賢者モードワロス」
 やはりこの主人は下賎でした。匹夫でした。僕は今日のへやんぽは盛大に足ダンをかましてやることをここに宣言します。4回はやります。ええ、やってやりますとも。天に召した典韋にも聴こえるようにダアン! と。