不幸の連鎖と幸福 By Y平

 ぎゃー、みんな死ね!
 とまあ、自分が苦しいとき、不幸なときに、得てして他人がみんな憎らしくなるときってありますよね? なんつーかとりあえずみんなムカつくとかそういうの。なんで僕だけこんなに不幸なんだー!? っと力みたくなる瞬間。こういうことってよくある。
 というのも、三度MP3プレーヤーが壊れました。つっても前の2回壊れたときは、まだ修復可能な域、分解して接触不良をグリグリして直すという荒療治をするという段階だったのですが、ついに本当に壊れました。グリグリやってたら、音楽の出力部分のターミナルがベッキリ折れやがりました。接触不良とか以前に、電気が流れない。
 正直、分解して直す俺、超理系じゃね? みたいな奢りはあった。なんつーか、昔。19年前。僕のオヤジがファミコンを分解してて、子供心に「かっけえー」みたいなことを思った記憶。あれと今の僕が重なってた感覚があった。なんか分からんけど分解しててカッコいいオヤジ≒かっこいい僕、みたいな。
 まあ、つっても、そのおかげで1コンの十字キーは異常に固くなったし、MP3は音を完全に失った。若き日のオヤジも今の僕も、素直に電気屋に持ってけば保証が効いて万々歳だったはずである。歴史は繰り返す。
 さらにさらに。先日風呂に入ろうとして、ガラリと風呂場のドアを開けたら、風呂場のタイルの上にシロアリがウジャウジャいやがったので、死にました。
 見ると、風呂場の壁のところに不自然に穴が開いていて、そっから腐った土が盛り上がり、シロアリたちの大行進が始まってる。もうほんとウジャウジャと。なんか白いゴミみたいのがひしめき合ってる。それを見た僕は、一瞬にして鳥肌に身を包まれ、チンコぶらぶらさせながら「おかーさーーん!」と大絶叫。ちびまる子ちゃんで、シロアリが大発生した話がありましたが、あのときのまる子と僕が確実にシンクロしました。
 で、全裸の僕を横目に、すぐさま家族会議が始まったのですが、なんやら旗色がよろしくない。「保険はいるの忘れてた」とか、「場合によっては何百万も……」などとデンジャラスワードをあげる両親。ものすごく深刻な感じが漂ってる。一体どうなんの? ウチ、潰れるんすか?
 その他、2年半付き合った彼女と別れる、バイト先で店長の悪口を言ってたら、店長が出てくる。等々、様々な不幸に見舞われ僕は、もう参っちゃって参っちゃって。いかんともしがたいです。死のうかな。さっきは君達に死ねって言っちゃったけど、本当は僕が死ねば一番いいのです。
 という感じに世の不幸を一人で背負い込んでる、というシチュエーションでナルシー決め込んでいた僕ですが、先日第一志望の内定決まりましたギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!! ヤッターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
 もうほんとよかった。何がよかったって、これで就活二度とやらなくていいってのが一番よかった。正直第一志望が受かったからとか、自分のやりたい仕事ができるから、とかそういう明るい側面はどうでもいい。とにかくクソ面どくさいあのシュウカツとかいうのと、決別できるのが最高です。
 思えば色んな不幸が僕を襲ってきた。でもドラえもんも言ってたじゃない。幸福というのは縄みたいなもんだってね。縄のよじよじのように、幸不幸は絡み合ってるんだって。不幸のあとにはかならず幸福が訪れるんだってさ。僕の幸福はこれから始まるんだ。
 と思ってたのですが、内定をもらってから途端に生じる不信感。なんつーか僕の入るとこ、なんとなーくなんですがその……ブラック臭が、ほのかに……するんですよねー。はは。
 やっと掴んだ幸福、と思いきやその幸福チケットは、実は地獄行きのチケット。不幸→幸福とみせかけて不幸→不幸のフェイントコンボ。
 激悪な仕事環境の中で、僕は幸福なんだよと必死に思い込むことの不幸、悲惨さ。いや、むしろ。社会に出るということ自体が、実は不幸への序章だったりするのでは? そら、学生のほうが気楽で幸せに見えますわいなあ。ん、何? 学生の幸せは刹那的幸せだとか主張もある? 社会貢献し、幸せな家庭を持ち、仕事は忙しいけど、やりがいはあります? そういう、苦しいけど幸せなんだよと思う哲学? 苦しいからこその幸せ?
 なるほど、苦しむということは死へと近づくことだ。死ぬことは、すべてのしがらみから己を解放してくれる、極楽浄土へと旅立たせてくれる、つまりは幸福への第一歩である。その昔、一向宗徒が織田信長の手を大いにわずらわせたことがある。なぜか? それは一向宗の思想そのものに、死ぬことはむしろ幸福なことという思想があったからだ。だから一向宗は自分に向かってくる刀剣を恐れもせず突っ込み、だから強かった。死んで「やった」とガッツポーズできる精神。その精神を取り上げるならば、例え僕が三年後とかにオフィスで首つって糞尿をたらしていたとしても、それはガッツポーズものということで、なるほど幸せだ。ブラック万歳!!!!!!!!!!
 ということで、とりあえず就活終了です。頑張って更新しまーす。
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