【エッセイ】狂卵

 別に言ってなかったけど今シナリオライター目指してますわ。作家の卵。右サイドバーのところにひっそりと落選した賞をつらつらと書いている。落選、だ。落選した賞と書くとでは受賞した賞は? となるがそんなものは別にない。ないのです。作家の卵と書きましたが、このまま卵として一生を終える可能性が高い。冷蔵庫の中。忘れ去られて放置の卵。振ると中でカラカラ言う卵。さしずめ僕はそんな卵だろうか。え、そもそも? 冷蔵庫に入れるような卵は? 無精卵だから? ヒナ(才能)が孵ることなんてない? 黙れ。有精卵だったらそれはそれで悲惨だろ。ホラーだろ。卵食べられなくなるだろ。どうでもいい? 俺もどうでもいい。
 というわけで無精卵からヒナが孵るという奇跡のドキュメントを信ずるところの僕はシナリオを書きます。シナリオ。まずはキャラクターと世界設定を決めるのが第一ですな。そのキャラクターはどんな欲望を持っているか。何が望まれる世界観か。
 ハルマゲドンを観てみるとよい。あれは隕石衝突をどうにかしたいっつーのが望まれる世界観。それと平行してキャラ達の恋愛とかの欲望が錯綜するのでそちらも満たしてあげればベスト。というわけでその辺を考えるために、どんな欲望があるかを羅列してみるのがシナリオの第一歩。下記に僕が実際にメモしたことを書く。
 「寝たい。トイレに行きたい。ゲームしたい。SEXしたい。就職したい。働きたくない。酒を飲みたい。不労所得万歳。死にたい。幸せになりたい。女にもてたい。男にもてたい。復讐したい。苦労したい。ロッククライミングやりたい。猫になりたい。狂った世界に行きたい。髪の毛になりたい。病気の彼女を救いたい。可愛い下着を買いたい。つららをなめたい。生きたい。スパンキングを受けたい。ぬいぐるみをひきちぎりたい。狂ってしまいたい。可愛い女と女女女女↓狂っててイイネ!」
 狂ってる。いや、狂いたくて必死にもがいてる感がある。いっそ狂ってしまいたいっていうのは本心である。狂った発想がなければそれこそヒナは孵らない。悪い奴を倒すだけのストーリーじゃ桃太郎の3万番煎じぐらいになる。ありふれたストーリーからの脱却をはかりたいんだったら狂え。はい狂います。プスリ。うへへへへ。ちなみにこのプスリはシャブを注射した音ではない。それは普通の発想だ。これは蓋を開けた精力剤の瓶を肛門に挿入した音です。
 狂ってて気持ち悪いってんなら帰れ。桃太郎でも観てろ。でもねえ。動物的視点から観たらあんた達も相当狂ってるでしょ。何で仕事してるの? 何で色んなところに遊びに行きたいの? なんで満員電車に乗って痴漢されてるの? なんでブログとか書きたいの? そんなの人間しかやらねえだろ。気持ち悪い。食って寝て交尾するだけ、それが動物学的なレベルの一般だろ。人間も十分狂ってんだよ。
 などと冷蔵庫に入ったカラカラの無精卵から話しかけられるホラー。ねえこんなプロットはだめかしら。何番煎じかしら。
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【エッセイ】地元を語れる奴

 札幌に来てからと言うものの地元民でないということがやたら便利な場面がある。例えばキャバクラに行ったとき。俺北海道出身じゃないんだよねーと言っておくとそれなりに話題が広がる。えー、どこー? 名古屋。新卒でいきなり配属が札幌でさー。俺泣いたもん。へー大変だねー。じゃあさー……
 と言った塩梅で会話が続く。昔高校の英語の教科書でヨーロッパで初対面の人と話すときはとりあえず天気の話から入る、みたいな英文があった。それに倣えば札幌では名古屋の話で入るのが僕のセオリーである。あと、「愛知」ではなく「名古屋」と言った方がよい。他県の、しかも東海3県の位置なんて大抵の大人は正確に覚えていない。僕も4年札幌に住んでいるが、未だに岩見沢がどこにあるか知らない。北海道出身者が他県の人に俺、岩見沢出身でさー。とは語らないのと一緒だ。北海道と言えばよい。名古屋と言っておけば、名古屋嬢だの、煮込みうどんだの他県の人からもピンと来る。
 ここまではよい。問題はじゃあさー。の後。大抵ご当地の話になる。何何だがやーとか言うの? とか、八丁みそだの、喫茶店でコーヒーにトーストがつく話になる。そこへ来て「うっ」となる。僕は名古屋のことを全然知らないのである。
 名古屋弁ってどんなのがあるのーとはよく問われる質問だけれど、正直僕は喋れない。県民ショーなどでキャイ〜ンの天野が「〜だがや!」とか「〜だでね〜」などとわざとらしい名古屋弁を喋っているがこういうのはまず喋らない。地元のヤンキーか、お年寄りは使うかもしれないが、僕は使った記憶がない。なので無理矢理「なになにしりん〜」とか「なになにだら〜?」とか言ってみる。きゃーなんか可愛いね。とかなんとかキャバ嬢。だがその実これは三河弁であって名古屋弁ではない。大学時代に三河の彼女がいたのでその言葉を思い出しただけだ。分かりやすい名古屋弁ってないよな。
 コーヒーにトーストがついた経験もない。都市伝説なのかと思うぐらいである。それでも強引にそうそう、トーストつくんだよー。何だったらゆで卵もつくよ。などとネットで得た知識を披露する。すごーい。と返ってくるが、僕はそもそも喫茶店に行かないので名古屋知識はすすきののキャバ嬢と何ら変わりないのである。ちなみにみそ煮込みうどんも1回しか食べた事がない。まずいのに2000円もして憤慨した。
 こんな調子だから、僕に名古屋知識を期待しても無駄である。それどころか名古屋人である僕は県民ショーから名古屋の知識を得ている。なので地元のことを浪々と喋れる人って素敵だな。と思う。
 否。ほんとだろうか。ほんとにみんながみんな地元のことを語れるのだろうか。怪しいものである。だって札幌在住の人が時計台に行くとは思えない。わざわざデートでテレビ塔に登ったりもしないはずである。むしろ観光客の方が時計台に詳しいのではないか。僕も札幌に4年しか住んでないが、札幌のよいところであれば、小一時間は話が続く。外部の人のほうがむしろ地元をよく知っているのだ。
 それでも北海道在住の人に、北海道ってどんなところと聞くと、がんがんレスポンスがある。何だったら二条市場のバーに行きましょうよってな具合に愛を感じる。とたんに僕は不安になる。ああ、俺がおかしいのか。あれだ。最近若者に増えてる愛国心がないってやつ。韓国やアメリカにバカにされるやつ。そうそう僕って自分が住んでた地域に頓着ないんだよね。ちょっと自分にがっかり。やっぱり普通の人は地元を語るぐらいの愛は持ち合わせているんだろうね。群馬の人とかは群馬バカにされるとすごく怒るけど、僕は例え名古屋が沈没しようと鼻くそほじってたりするんだろうな。
 そんなことを思っていた折。ちょうど名古屋に帰る機会があった。久方ぶりの両親。ただ両親ともに別に名古屋弁らしい名古屋弁はしゃべっていなかった。うーん。やっぱり名古屋って特徴ないのかもしれん。ただ単に名古屋に語るべきことがないから語らないだけかもしれんと思ったところに弟登場。「おー、兄ちゃん帰ってきたがん。最近全然
 帰ってこんでね〜」
と、こてこての名古屋弁を喋り出す。
 ……やはり名古屋に特徴がないんじゃなくて僕に地元愛がないだけだったか……という気持ちに揺らぎかけたが、弟の耳にぶらさがるピアスを見て、弟はヤンキー属性があるからと断じて心に蓋をする。
 あなたの地元はどんな特徴がありますか。
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