ソフトウェア系インターン総括 By Y平

 インターン終わった。やっと終わった。いや、もう最高です。たった数週間だったけど、濃い経験をさせていただいた。仕事の楽しさもさることながら、他のインターン生との交流、厳しくも僕の成長を願ってくれている社員さん、自社の成長を切に願い、一丸となってプロジェクトに向かっていく社風、全てが僕にプラスな刺激を与え、僕は大きく成長することができマシタ!!
 とか言ってみてー。マジ言ってみてーよー。「俺、成長した!」っておくびもなく言えちゃう人物。さういうものに、私はなりたい。
 ぶっちゃけ言う。プログラミングの技術、これは確かに上がった。プログラミングへの興味、これも確かに沸いた。気づいたら「ゲームプログラミングで学習するJava入門」とか言う香ばしい本を買ってしまったほどだ。
 この衝動、このプログラミングへの熱いパッションをどうするか。したらば僕はこのまま一直線に「ソフトウェア業界」へ進出。SE(システムエンジニア)になっちゃう? なっちゃう?
 NO、なりたくない。プログラミングは趣味の段階が一番楽しい。これが仕事とかありえない。少なくとも僕からしたらありえない。3K(「きつい」「帰れない」「給料が安い」)とかありえない。すると社員さんが言う、「はっきり言って、どこの業界も3Kでしょ?」いや、もっともです。就職して、「俺の仕事、超楽勝」て言ってるやつをついぞ見たことが無い。
 しかし、それを探すことが僕の就活なのだ……と言うような様子でおったら、社員さん再登場です。諦めとも哀れみとも思える侮蔑の視線をあびせながら「それは甘えだ」と斬り捨ててきやがる。じゃあ働かずに死ぬしか、ない、じゃな、いか!
 冗談ではなく働きたくない気持ちだけ膨らんだ。そう聞くと、大方の就活生どもが鼻の穴を膨らませて、「こいつ、だめだし」などと鼻で笑ってきやがるが死ぬといい。何を嘘ついてんだ。お前達は働きたいのか? 本当に働きたいのか? 「うん、そうだよ。おれは広告業界でバリバリ働くんだ。そしてどんどん出世して……」ファックファックファーック! 島耕作気取りはやめて頂きたい!
 お前らの望んでいるのは働くということそのものではなく、その対価でもって得られる給料、名声、そしてその後の生活の平穏なんだろうが!
 無駄にスタイリッシュなマンション、キレイな妻と、聞き分けのいい娘。ゴールデンレトリーバー。それを被写体にお前はビデオカメラを手に取り
「カメラじゃないんだから……動かなくちゃダメだぞ、真奈美」
「はーいパパ」
「真奈美ったら動きがカクカクじゃない」
「ワンワン」
「はっはっは。いいぞぉ真奈美」
 一方で会社では馬車馬のように働き、常にプロジェクトのことを考え、ストレスで白髪が増えまくり。しかし憔悴しきった顔で家に帰ると、可愛らしい妻がお出迎えだ。玄関先にパジャマでトテトテ出てくるお前の妻。
「遅かったわね。ねえ、あなた……最近体大丈夫なの?」
心から心配そうにお前を気遣う妻を見て、お前は微笑する。
「ああ、大丈夫だよ」
そう答えると同時に、
(お前達さえいれば……大丈夫だ)
と半ば自分に言い聞かせるように、心のなかで強がるお前。いや、強がってるのか、本心でそう思っているのかも分からない。それほど、お前は頑張っている。バリバリ仕事もして家庭も守っている。それは……幸せ、なのか? それとも自己欺瞞、なのか?
 一方で就活を放り出し、今バイトしてるコンビニでパートして一生を終えた場合の僕の人生を見よ。
 週五で朝昼コンビニ、アフター5でもって好きなアニメDVDを鑑賞、深夜2時過ぎまでインターネット、エロ動画ダウンロードしまくり。独身。趣味はゲームプログラミングとブログ。「今日も人と話しませんでした」と多重人格とかいうブログに書き書きする僕と言う名の廃人。「俺も」「俺も」「俺も」とコメント欄に群がる他人という名の廃人。夏、冬には自費製作のゲーム、エッセイなどをイベントに持ち込み、好きな時間にあらゆる本を読む僕。コンビニではとりあえず時間が過ぎていくのを待ち(8時間)、帰って独り、焼酎を飲み飲み老いさらばえていく。そしてついに終末のときは訪れる。もちろん独りである。インターネットを開いたまま、断末魔のブログ更新だ。「ついに死ぬぞ!!!!!!!!!」それに群がる廃人という名の他人「俺も死ぬぞ!」「俺も!」「俺も!」ぽっくり。
「白骨化した独居老人の遺体が今朝、発見されました。近隣住人によると――」
 僕からすれば、どっちも悪くないと思えるんですね。不思議ですね。奇妙なのが上の二人とも、最期のときには「俺は幸せなのだ」と自分に言い聞かせて死んでいくのです。一体幸せっていうのは何なんでしょうかね? 幸せ、見つけたいなあ。
 あ、インターンのこと忘れてた。そうねえ、昼飯の焼きオニギリが絶品だったよ。
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第4回 Y平の就活ラジオ ~気まずいインターン~ By Y平

 ラジオです↓。
第4回 Y平の就活ラジオ ~気まずいインターン~
第1回 Y平のリクエストラジオ ~浪人生活について~
[最近の雑感]
 「忙しい? 忙しいっすね自分。だからすいません。書くのがメンドいのでラジオします。書くためのリハビリテーションか何かだと思っておいてください。ならない? そんなことはどうでもいい。
 いやー、聞いてくださいよ。やっぱブログで書けば2時間かかることも、ラジオだと10分足らずで済みますからね。なんて楽なんだ。……え? 手抜きだって。まさか先輩それはないっすよー。
 仕方ないっす、俺仕方ないっす。先輩。だって忙しいもんー。手帳のスケジュール欄なんてギッチギチ。この過密スケジュールをいかに効率よくこなすかってのも、大手に就職するために求められる資質っつーやつでしょ? 一つしかない僕の体をいかに色んな場面に、ギブすることができるか? この思想、この利他主義の企業人予備軍的姿勢。これぞ就活、これぞ輝いてる僕。内定をいち早く決めて、トルコあたりに思い出作りに行っちゃう勝ち組とは俺のことよ。そのためのあえての辛酸、あえての忙殺。僕が今、苦しみを感じることで、将来は明るく開けた様相を呈していく。たまらないよね。
 あ、気づいた。僕が今苦しめば苦しむほど、未来がよくなるならば、むしろ死ねばいんじゃないかな? 死の苦しみ、究極の苦しみが僕の未来を後々照らす。死の苦しみから得られる最高の幸福。おっくせんまんおっくせんまん。うひょー。
 ならば僕は就活的ポジティブ精神にのっとって、積極的に死ににいくことにします。小刀を前に思わずニヤリ。だってこの苦しみを抜ければ最高の内定が待っている。苦しめば内定をもらえる。そういう世界だと聞いた。ならば僕のやっていることはあながち間違いではあるまい。一方で「間違ってるよ」と指摘する弱気な俺もいたがファックだね。俺は就活生たちがデフォルトで持ってる強固なポジティブシンキングでもって、弱気な俺を突き殺す。しからば、すわ、爛々と小刀を繰り、頚動脈をズビシーと一閃。深い。これはいった。血しぶきのシャワーが赤々と部屋を赤い霧で充満させ、俺は恍惚とした表情でつぶやいた。『死が最高の苦しみだなんて嘘だ』」
 そんな誠に輝いちゃってる思想を振りかざすことで、なんとか生きてる。あとインターン2日。
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コメ返しは今日中にしますm(__)m

就活散髪 By Y平

----------—リンク追加のお知らせ------------------------------
「屍ちゃんぷるー(Remix)」 管理人 DJしかばね
 世の中の比較的言いづらいところを、あざやかに斬っていく素敵なブログ。DJしかばねさんの、時事ネタを絡めたブラックなジョークはかなりツボです。人とは違った目線で見るとはこういうことかもなあ。
すごいツボった記事たち ↓
差別する建造物2
牛に願いを~Love&Farm~
”経験”でドレスアップ
テレビドラマの虚構性 ― 『山田太郎ものがたり』第4話
近所祭り
----------—-こっから本文-----------------------------------—-
「Y平さん……え? うそ? ハゲてますよ?」
 みたいなことを言われたので焦った。言い方としては「しまった、気づきたくないのに気づいてしまった」みたいなニュアンスで言われ、こっちもあっちも気まずい。僕は半泣きで、「え? うっそ! マジで!? ……やっぱかー! 俺、遺伝的にハゲるんだよなー!」などと空気を和ませるために大げさに叫び、乾いた笑いが向こう側(ハゲてない側)から申し訳程度に漏れてくる。という夢を見た。あっぶね、夢でよかった。僕、ハゲてない……よな?
 だがこの夢は、僕の脳内からの必死の警鐘のように思える。思えば4月からの大学生活、びびるほど風呂に入っていなかった。たぶん風呂入る確率は谷繁の盗塁阻止率ぐらい。そんなだから、ギャンギャン脂が毛穴に溜まって、髪をグシャグシャすると大量に毛が散った。
 中学生のとき。卒業文集に「将来ハゲそうな人ランキング」という親御さん青筋もののランキングが発表された。そのとき、なぜか僕が2位にランクインしたことがある。1位は下馬評通り、クラスのハゲキャラ大平君が選ばれたのだが、真にハゲそうな人として勝利したのは僕であった。だって僕はそんなキャラじゃない。「ハゲそう」などと中学の3年通して一度も言われたことはなかった。それが3月の卒業シーズンに急にランクインする意味、皆の気の使い様、担任の薄ら笑い。みんなみんな中途半端な優しさと悪意で溢れていた、様に思えた。
 だが、実際どうだ。僕は髪をグシャグシャと触ってみる、鏡に映してみる。ハゲてない。全然ハゲていないぞう。それどころか髭に溢れ、髪も長く、そして多い。体毛という体毛で黒々とした顔。頭だけには留まらず、顔面中に毛が散りばめられている。この勝利した感覚! 見よ! 「将来ハゲそうな人」を見極められなかった馬鹿な友人ども! ひれ伏せ! この顔。髪が長く、多く、不潔そうな毛いっぱいの僕の髪の毛を! 活目して見よ!
 不潔そうな髪で思い出したけど、明日から2週間のインターンでしてねー。これ、完全にヤバイよねーこの髪形。この天パ。これでは昔の友人に勝てても、インターンに負ける。ということで、髪を切りに行ってきた。
 いつもは大学の帰りか何かに、星が丘にある美容院に行くんだけど(これは星が丘という高貴な響きを利用した自己PRである)、まあ大学もないし適当で良いだろうということで、適当な美容室へ。
 カランコロン、っしゃいませーー! ちらりと確認する値段表。カット4000円。あ? この高い値段設定。ここは天下の星が丘様か何かかしら。ノン、ここは地元。てめえー、くそ。地元。まあ怒っても仕方ないので財布を確認。3700円しかない。へへ。
 へへへ、という軽率な笑いを浮かべながら、「すぃぁせん、お金ないっす。また来ます」っつって背中を向けたら、おばちゃん美容師に必死の形相で止められた。「あ、お客さん、何円あるの?」あ、3700円っす。「あ、なら大丈夫だわー。顔そりなくしたら500円引きだもーん」あ、そっすか。なら、お願いします。「あ、はーい。こちらどうぞー」あ、すぃぁせん。(美容室って顔そりしたっけか?)
 お互い、「あ」「あ」「あ」などと言い合いながら、席へ付いた。いざカットの始まりです。担当は先のおばちゃん美容師。一抹の不安が頭をよぎる。年配の美容師さんは何かしら怖い。センスが怖い。これは偏見か? いや、床屋を思い出すからだろう。僕は昔、床屋のおばちゃんに「スポーツ刈り」と頼んだら、ウド鈴木にされた経験がある。散髪コンプレックスはこの時期に培われた。
「今日はどんな風にしますかあ?」
 と言われても、返答に困るのが僕の性。なぜか考えてみる。……そうか、僕は髪を切りたくないんだ。なぜなら現状の髪形に満足しているから? 違う、ファッション的な意味じゃない、もっとこうダメな理由、半年に一回ぐらいしか髪なんて切りたくねー的精神。いいね。これはガチ。僕は基本、髪も切りたくない、髭も剃りたくない。ついでに働きたくもない。……働く? はっ、そうだ。テーマはそれだ!
「就活に耐えうる髪形にしてください」
 と答えた瞬間、空気を支配するのは沈黙と戸惑いである。「えっ」と逡巡の表情を浮かべるおばさん美容師。無理も無い。「大気圏突破に耐えうる装甲」とかそういう類の言い回しのごとく言ってしまった。これは妙だ。
 なので補足として、「横を短く」「後ろ髪を微妙に短く」とか断片的に、極めて主観を交えた曖昧な注文をいたしたところ、最終的に「さっぱりする」という意見でお互いが一致した。この美容室コミュニケーションはいつだって僕を悩ませやがる。
 しかし一息ついたのも束の間、おばちゃん、すごい勢いで髪を切り落としていく。チョキチョキ、とかそういうんじゃない。ジョンギリって感じにザクザク切り進んでいく。え、ちょま、おばちゃん。待って。ここで生じる双方のニュアンスの違い。僕とおばちゃんのさっぱり性の違い。双方には超えられない壁がある。あった。気づいた。
 しかし言えない、何も言えないのが僕であった。自分の髪形のコンセプトすら伝えられないこのコミュニケーション力のなさが悲しい。もしこれがおばちゃんじゃなくてクライアントだったとしたらどうするんだ!? 反省せねば!
 だりーよ。すぐ就活につなげようとする根性がダルい。日々のコミュニケーションの中で自分を変えていく。ああ、確かにいい考えだ。が、そのコミュニケーション力向上意欲の先にあるのが、「自身の内定」という極めて利己的な打算だ。……いや、これは別にいいか。キチンと相手に物事を伝える。これができるのは基本だ。当たり前だ。なんか就活的意識の批判したかったけど、何も浮かばなかった。このテーマで「就活とかムカつく! 特にあの自己アピールに余念のない、輝いちゃってる就活生ども! 死ねよ!」と就活的敗北者の弁を述べるのは不可能だ。ごめん、俺、間違ってたわ。
 自分の行動を反省してればなんか就活っぽい気がしたので、反省した。反省した僕は、ジャンギリジャンギリ切られていく横髪、後ろ髪にさよならしつつ、注文の修正機会をうかがう。なぜすぐに言わないのか? 言わないんじゃない、言えないんだ。なんか、途中で注文するって、優柔不断な感じがしていやじゃないっすか? あ? そこがダメなんだって? だりい。だりい意見だ。バカじゃないの。
 いいですか、カメムシがいましたよ。そのカメムシがいきなり「ビルゲイツになりたい」とか抜かしたら可笑しいでしょ。不自然でしょ。カメムシがビルゲイツになるのにどれだけの過程を踏むか、想像してくれよ。いいか? まずは、だ。地殻変動による気温変化、捕食者の増加など、ありとあらゆる進化をうながすファクターがまず必要だな。それに対して、何千万年、何億年という進化にかかる時間も必要だ。変化していく過程はものすごく遅く、目に見えないところから一歩一歩進化、そして人間には到底考えられもしない、悠久の時間と微小な可能性でもってようやくビルゲイツとなるんだ。
 つまり俺は今カメムシだ! 理想は、切る前から自分の欲している髪形を的確に伝えられることだ。つまりそれはビルゲイツだ。が、俺がまず目指すべきはそこじゃねえ。膨大な量の進化のうちの、一つ目の進化を遂げることが重要なんだ。「注文を伝えきれないまま刈上げにされる自分」(←今ココ)と、「横髪、後ろ髪をザックリ切られたあと、もうすでに時遅しだけれども、ようやく注文を言えた刈上げの自分」では、進化と言う点で崇高なる違いがある。これを繰り返していって僕はいつかビルゲイツになるんだ。分かるか。スピードにこだわるな。自分のペースで進化していけばいいんだ! これがわいのSYUKATUなんや!
「も、もみあげは長めでお願いします」
 かくして、僕は「注文は正確に言えなかったし、最後の最後でどうでもいいもみあげに注文をつけて、ほんとはどうにかしたかった前髪に関する言及は一切できなかったが、『切ってる途中で注文を追加できる』という胆力を得た、刈り上げで妙にもみあげが長い僕」という、僕に進化することができた。これは、ゲイツに向かう第一歩目の進化であり、僕は今日の経験を経て、「就活を通して成長できてる……!」という、就活生特有の輝いてるアピールをすることができたのである。
 SYUKATU……最高!
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