4月27日 紹介状を書いてもらい精神科に電話をする

 昨夜も1時に寝れた。が、寝すぎて起きたのが10時半。一回も目覚めずに安眠を欲しいままにしたのは良い事だが、いかんせん今日は通院の日であった。11時に受診だったため10時半に目覚めた時点でアウツ。「寝坊しましてー」云々を病院に伝え時間を変えてもらう。ああ、もう、久しぶりのこの感覚。昔、震える手で「寝坊しました……午前半休お願いします」と上司に伝えた時以来の気まずさ。
 通院。といってもこの心療内科に通うのはおそらく最後であろう。今日は他の病院のセカンドオピニオンのための紹介状をもらう日だった。「もう予約はしたの?」とか「眠れてる?」だの最後の最後でなんだか親切な主治医。いつもは30秒で診察終わるくせに最後だけはめいっぱいの優しさが感ぜられたのはただの感傷だろうか。思えばここに来なければ休職することもできなかった。そう言った意味では健常なワールドからメンヘラのワールドへINした最初の地であり、いかばかりの感謝の念も沸く。「じゃああとは向こうのお医者さんとキチンと話してがんばってください」と語る寂しそうな主治医の背中は、元・受刑者が刑務所を出る際に看守が言う一言「もうこんなところに来るんじゃないぞ」テイストの労いの言葉を発しているようでしんみりとする。「はい、今後は真面目に働きます」っつって心で返事をする。まあ別の刑務所もとい精神科に行くわけだが。
 紹介状を書いてもらったとてすぐに転院できるわけではない。事前診療が必要らしい。面倒面倒。本当の重症患者はこの時点で心折れてる。札駅のモスバーガーに腰を落ち着け、珈琲を飲みながら電話する。今度の刑務所は白石の長野病院というところだ。
 電話をすると、なんとかワーカーだの専門のカウンセラー的な人が電話に出てきた。事前診療と称していくつか簡単な質問を受ける。その中で「具体的にどういった症状でお悩みですか?」と聞かれ返事に窮する。どのような症状? はて? そういえば僕は何に悩んでいるんだろうか。「難しいですね……」と思わず返す。事前診療は就職試験に似ている。個性的でホニャララワーカーの心をうつ、いや鬱、ハートレスなエピソードをアッピールしなければ入科することすら能わず。これは難関ですよふむーん。
 不眠? 鬱? 自殺願望? しかし浮かんでくる対案はどれも空々しく、現実味がない。あれ、今俺別に悩んでなくないか? これはは抗うつ薬の効果だろうか。まるで志望動機を聞かれたのに別のメーカーに内定が決まっている就活生のよう。薬が切れたときに電話をかければよかったと思うが薬が切れたら電話をかける気力がわかないの負のループ。比較的元気なときに、元気じゃないときの症状を聞かれる苦しみ。
 「薬が効いている時は元気なんですけど切れるとどうにも気力がわかないというか……はい、生きる気力がね、沸かない的な感じで」とモソモソと返答をすると、となりでモスチーズバーガーを食べてる男がぴくっと反応する。モスチーズ男は心の中で僕の髪をかき分け額をあらわにすると、焼きごてでもって何かを烙印する。ばあん。僕の額には「メンヘラ」のタトゥーが出来上がる。ついでに胸や肩にも「落伍者」だの「社内ニート」だの烙印を押してくれとせがむ僕。モスチーズ男の心の中の僕はシャツを脱ぎ捨て半裸になる。さあ押せ、よし押せ。精神科を受診するに足る烙印をじゅうじゅうと押し付けてくれ。早く。
 結局具合のいい烙印は見つからなかった。いっそのこと腕に大名行列がはう設定で行こうかと思ったが筒井康隆や夢野久作のオマージュと思われてもシャクなのでやめた。僕は電話口で十把一絡げのいわゆるメンヘラの典型症状を思いつくまま披露。それはステレオタイプにはまった「御社の自由な社風が気に入りまして」「テニスサークルの副部長をやっておりそこで培ったリーダーシップを」「アルバイトでリーダーをやらせていただきまして」云々、1000人いたら750人ぐらいが披露するであろう退屈な自己PRのごとく心にもないことを並べ立て、これで御社(精神科)に入れるかしらと不安になる。精神科を受診出来るかどうかですら勝負がある。やはり本当のメンヘラはこの難関な入科試験にそも耐えられないのではあるまいか。事前診療で個性的でもっともらしい自己PR(症状)を披露できた健常者のみが巣食う場所が精神科なのではあるまいか。そこでは「メンヘラ」という大義名分を勝ち得た社内ニートがおいしい食事と自堕落な生活をむさぼり不正ナマポ受給者よろしく仕事をせずとも生活ができるこの世の春を謳歌しているのではあるまいか。そんな妄想も捗る。
 とまれ必死の自己PRの末、どうにかこうにか明日診察を行ってもらえることになった。やったあ。
 やったあ? この場合喜んでいいのだろうか? 複雑である。いっそのことなにがしワーカーから「あなたはとっくに健常ですので受診の必要はありません」とバッサリ斬り殺されていた方がよかったのだろうか。この電話面接を成功させてしまった事、それ自体が自身の不健康性ないしはメンタル不調を盾に惰眠を貪るための市民権を得る愚者の証明のようでなんとも気分が悪い。受診できても鬱、健常であっても卑怯、前門の虎後門の狼とはまさにこのこと。どうしろっつーんだおい。
 とまあ色々書いてきたが、チャンチャラワーカーの方に、おべんちゃらはいい、この日記を見よ! そして僕が不健康かどうか吟味したまえ、とブログのURLを叩き付けて退散したい気持ちになった。
 確実に元気になってきてる。元気に鬱々とできていて気分がよい。

4月26日 ブロック崩しゲームを作る

 昨夜は1時に就寝。2日連続で安眠出来ている。が、起床は12時半。ねてもねても眠い。ああ失敗したなあと起き抜けにため息をつくと、妻から「休みの日だからいいんじゃない?」と言われる。確かに。なんで起きねばならないと思っているんだろう。僕の人生には「ねば」「ねば」が溢れている。これが病気を悪化させる一因になっているのは間違いない。せねばならないことなんて何も無い。人生の目標は「ねば」に囚われずひたすらに生きるだけだ。
 起きて妻と珈琲を飲みつつ本日もプログラミング。作りかけだったブロック崩しを完成させる。調子に乗ってWebに公開した。下記でPCからのみ遊べる。
ブロック崩し
 さらにプチ実況もやってみた。


 我ながら難しすぎる。ボールの初速が絶妙に早いのと、勢い良くボールを叩くと物理エンジンのせいでボールが超速になるのでとてもじゃないが全部ブロックを崩すのは無理。
 クリアーはできないがひとまずは単純なゲームが簡単なプログラミングで作れるのでUnityは面白い。さて次は何のゲームを作ろうか。
 夜は妻が飲み会で不在のため茶太郎と二人でお留守番。茶太郎と二人、緊張する。何が緊張するってグルーミングとへやんぽがある。いつも妻と二人がかりで茶太郎を捕まえてグルーミングをしているため独りでやれるかが心配である。
 グルーミングの時間になった。案の定ケージの中で茶太郎が逃げ回り捕まえられない。むなしくエプロン姿のまま茶太郎を捕まえようと努力するが無理。おまけに指をかじられて軽く負傷した。ああ。心がポキッとね。折れました。
 グルーミングは断念してへやんぽだけさせる。へやんぽ中、茶太郎君は機嫌良くリビングを駆け回り、僕の足の周りをグルグルまわり「遊ぼうよ、遊ぼうよ」と催促。かわいいねー。ウサギってほんとにいいものですね。否、これは遊ぼうよのサインではなく「交尾させろ」のサイン。盛り時期の茶太郎は俺の足をダッチワイフかなんかと勘違いしている。茶太郎はブレーキランプを5回点滅ライクに僕の足をつつきつつき、僕に醸し出すサイン「こ・う・び・さ・せ・ろ」。さぶイボが立つ。この色ボケウサギめ。先ほどかじられた恨みは忘れていない。
 晩飯を食べタバコを吸い吸い独り佇む。久しく忘れていた不安感が沸いてくる。何のために生まれて、何をして生きるのか。分からないまま終わる、そんなのはいやだ。とはいい歌詞を作ったものだ。無為に生きている感がすごい。いやしかし、誰も有意義に生きている人なんていないのではないか。大半の人間は糞して寝るだけだ。好きな音楽を聴いたり、好きなゲームをしたり、好きなカフェに行ったり、何も生み出さないまま過ごしている。それで幸せを感じている。それが悪い事だろうか。否。悪くない。そもそも何か生み出さなければならないという発想自体が自らの首をしめている。例え僕が茶太郎のダッチワイフとしてのみ、その生を受けたのだとしてもその生には意味がある。明日も茶太郎の肉便器として生きる。生きるのだ。

4月25日 劇団四季 CATSを観に行く

 昨日の昼寝しない作戦が効いたのか久しぶりに早く寝る事ができた。夢も観ず。熟睡出来たと思われる。
 起きたら朝10時半。しかしすげえ眠い。早く寝ても眠いものは眠い。どうすればいいのか。
 とにもかくにも今日は結婚記念日である。結婚して2年。あっという間だ。苦しい時も多かったけど良い事もたくさんあったような気がする。
 結婚記念日だからというわけではないが今日は劇団四季のCATSを観に行った。なんだかんだ劇団四季は毎年見てる気がする。ライオンキング、美女と野獣、どれも面白かったのでCATSも期待していた。
 したら寝た。だってストーリーないもの。野良猫集団の中で今年のMVP(ジェリクルキャッツとかいうの)を決めるみたいなストーリー。だれがMVPにふさわしいか候補者皆が一芸を披露していく。劇と言うよりはショーを見ている感じ。歌って踊って、素晴らしい音楽。さあ誰のパフォーマンスが一番いいでしょうと。そう、パフォーマンス自体は素晴らしかった。でも僕は美女と野獣ライクなストーリーもあるのかと思って観に来てたからストーリーないんだって気づいた時は既に食傷気味。まあ純粋なミュージカルってそういうものなのかもね。でも終わったときにはなんか爽快感があった。だからやっぱりすごい舞台には違いなかった。ただストーリーがないってだけ。In to the woodsに近い物がある。ストーリーとしてはつまらないけどすごい的な。いやそもそもストーリーは重要じゃない。最初からストーリーに力は入れてない感じ。
 劇団四季を観た後は札駅でショッピングと洒落込んだ。4年ぐらいはいてるチノパンがさすがにくたびれているので新しいパンツが欲しかったのだ。んでショッピングしてたら僕のクタクタチノパンがちょうどその店のブランドだったらしく、「あ、そのパンツ、すごいですね。懐かしいですねー!」と店員さんに言われた。懐かしいって。ギリギリな発言だと思う。
 晩飯にはなまる寿司を食って帰ったら10時。ウサギの茶太郎君がご立腹。いや、ご立腹を通り越して体調崩してた。微動だにしない。「なんでもっと早く帰ってこないんですか……?」と無言の抗議。うんこも小さくなっててびびった。こいつちょっと遅く帰っただけで毎回こうなんだろうか。ホーランドロップは特に寂しがるらしい。寂しがるだけならいいが、体調まで崩すのでタチが悪い。ごめんごめんときわめて低姿勢にご機嫌とり。お土産に買ってきた乾燥ブロッコリーの葉とパパイヤの葉をあげたら、うますぎたのかソファーにオシッコを漏らす始末。なんて感情豊かな動物なんだもう。ほんとめんどくさい。そういうところが可愛いとか全然思わない。ほんと大迷惑です。プンプン。あーん茶太郎くーん。

4月24日 昼寝を我慢する

 昨晩も全く寝られず。おそらく寝たのは午前3時ぐらい。いい加減体にくるものがある。薬が云々とか症状が云々とかではなく昼寝のし過ぎかと思われる。
 とはいえ朝8時に起きて妻の見送り完了。すげえ眠かったがここで寝ると夜寝れないループにはまりこむので珈琲をガンガン飲んで起きてた。今日の目標、「昼寝をしない」。まさか30になって本日の目標に「昼寝をしない」というチャイルディッシュな目標が来るとは思わなんだ。もっとこう、「売り上げ20件!」とか「毎日アプリ作ります!」とか「1ヶ月で30冊本を読みます!」とかそういう意識高い系のあれじゃないの30の目標って。昼寝て。
 んで、眠気を覚ますためにずっとニコ動のゲーム実況動画とか見てた。面白かったのはゲーム内で食べた食材しか食べない縛り系の実況。ゲーム内で晩ご飯でーすとかいってヒラタケ食ってるんだけど、現実世界でもヒラタケ食ってるの。しかも生で。食べないとゲーム内でも現実世界でも死んじゃうから無理して食べてんの。こういうキチガイは好き。
 夜は茶太郎と遊びつつUnityでゲームプログラミングしてた。あれだ、プログラミングの腕が確実に落ちている。なんつーかメソッドの勘所とかが鈍ってる。「こういうAPIがあるはず〜」とかそういう予測する腕が落ちている。効率上がらず。ひとまず、リハビリでボール崩し作ってた。


 やりかけになってるインベーダーを早く完成させたい。あと今日こそはちゃんと寝たい。

4月23日 ジムでヌシと会う

 昨晩は23時に床についたが全く寝られず。結局寝たのがたぶん2時ぐらいになってたと思う。
 夢を見た。どういった夢か忘れてしまったが愉快な夢だったと思う。しかし愉快な夢と言えど連日見るのでやはり眠りが浅くなっているのだろうか。睡眠薬とかちぃとも効いてる感じがしないので、やはりあの主治医はヤブだと思う。
 起きたのは12時だった。今日は妻のお見送りができず。睡眠不足のせいか、夢のせいか気分は悪い。シャワーもあびておらず汚い。ひとまずシャワーを浴びようかと思ったが、どうせシャワー浴びるんならこのままジムに行って汗を流してからシャワー浴びた方が効率いいんではないかと思い始める。シチューをかっこみ寝間着のジャージのまま区営のジムへ行く。歩いて2分。
 ジムではいつものメニュー。最近は週2で行っている。肩と僧帽筋をメインにこなす。ふと、周りに目をやるといつ来てもいるおじさんが筋トレをしている。ほんといつ行っても出会うので、僕はひそかにこのおじさんのことを「ジムの主(ヌシ)」と呼んでいる。ヌシは筋骨隆々で、いつも胸系のトレーニングばかりやっている。いやちょとまて。なんで木曜の真っ昼間からこのヌシはいるんだろう。仕事何やってるんだろう。ニートなのかな……と思いつつヌシの美しい筋肉を眺める。しかしよく考えてみたら向こうも俺を見てそう思ってる可能性大である。「平日の昼間からこの青年はなんだ?」とか思われてる。もしかしたら俺もヌシ呼ばわりされているかもしれん。
 ジムの帰り道、散歩をする。今日は6月上旬ぐらいの気温があったらしい。暖かくて気持ちがいい。筋肉が適度に張っているのもいい。関係ないけど体脂肪測ったら13%だった。メンタルはアレなのに体だけは強靭です。復職した折には「Y平、でかくなったな(物理的に)」と思われたい。
 15時、帰宅。シャワーは結局あびなかった。食器なんやらを洗いつつ、落語を聴く。時ソバ、元犬、薮入り、化け物屋敷なんかを聴いた。柳家喬太郎面白すぎた。円楽は別に面白くない。
 落語を聴いて楽しかったが、楽しいと同時に俺も落語やりてえと思い始める。柳家喬太郎の喋りにあわせて俺も倣って噺してみた。全然できない。レベルが違う。すぐ同じ土俵に立とうとする性格。これが厄介である。俺は演劇でも落語でも、すごい人を見ると俺もこのぐらいやれるはずと思うタチである。んで、実際やれなくて凹むのである。こういう性格も病気を悪化させるアレなんだろうか。といっても、円楽ぐらいならできる気はしている。喬太郎は無理でも円楽ぐらいなら。
 夜は妻と茶太郎と遊んだ。ちょうど茶太郎も生後4ヶ月になるので盛りがついてくることである。茶太郎が俺の足にしがみついて腰をカクカクさせる。すごいイヤだった。小さいチンコが足の指にあたるのがイヤだった。イヤだったけどなんかこう女の子の気持ちが少し分かり面白くもあった。4、5回にわたる執拗な茶太郎ピストンに嫌気がさし、「ああーん、それ以上は駄目え」と嬌声をあげると妻に爆笑された。良い夜である。これでぐっすり寝られれば言う事ないのだが。