081107

 深夜三時就寝という暴挙に出てしまったため、起きるのが非常に辛かった。つっても、今日は九時から打ち合わせなので、体調は最悪だったけど気力で起きた。どんぐらい体調が悪かったかというと、水筒の中蓋を取ろうとしても、どう頑張っても取れず、母さんに頼んで取ってもらったぐらい。母の、「あんた、元気がなさすぎるよ」という言葉が、今朝僕がどんな顔をしていたかを物語っていた。
 打ちあわせ終了後、とにかく眠かったので研究室で眠りに眠った。昼の12時半から2時まで気絶するように眠ったが、いっこうに眠気が取れないので気分転換にBOOKフロンテへ。森博嗣のエッセイと、リリーフランキーの小説集「ボロボロになった人へ」を購入。そういえば大学の本屋って、生協組合員だと、5%安くなるんだけど、組合員証をなくした僕はその恩恵をずっと受けれてない。そもそも、組合員証ってどこにいけば再発行してもらえるんだろう。いつ契約したかも覚えてない、謎の会員証だ。店員との「組合員証お持ちですか?」「いえ、ないですー」というやり取りもいい加減飽きてきた。あそこの店員さんは、組合員前提で売ってるから、最初から5%引きでレジを打つ。それをわざわざ訂正させる一連の流れがなんとなく申し訳なく、来るたびに「持ってなくてすいません……」という気分になる。
 研究室に戻ろうかと思ったけれども、また寝る可能性があったので、おとなしく図書館に行った。先ほど買った森博嗣のエッセイを読みながら、ウトウトしようかなーという思惑。が、ことのほかエッセイが面白く、全然眠くならない。研究室で寝て、図書館で寝ないとか……何か罪悪感を感じたので適当に切り上げて研究室に戻る。いや、よく考えたら両方とも寝るための施設ではないんだけど。
 再び研究室。むちゃくちゃ濃い目のコーヒーを飲みつつ、1時間ほど半導体関連の英語文献の訳し作業に没頭した。
 理系の英語文献を読んでいると、なんやらかなり勉強したような気になる。おそらく、訳すだけでも割とコトであるのに、更に訳したものを学術的な知識として吸収せねばならないという二重の作業が必要になるからだと思う。高校までは、英語は訳してその場で意味が通ればよかった。吸収するといっても単語ぐらいのものだろう。ソレに対し、今読んでいるものは半導体の知識として確実に覚えなければならない。英語で書かれた内容を理系的解釈で噛み砕き、理解をするという作業が大変なのだ。なにせ日本語で読んでも分からないときがあるぐらいなので……
 となると、仮に分量が少しでも、かなりの労力を費やすことになる。やった分量は少しなのに、脳みそだけはやたら疲れ、「今日はかなり勉強したなー!」という満足感に浸りがちになるが、実際知識としてはたいして増えてない、てな状況もありうる。理系英語の落とし穴。
 結局、膨大な英文の前にいつの間にか気絶。今日は一日の半分くらいを寝て過ごした気がする。先週がんばった反動が、ここへきて効いてきたか。モチベーションの波が激しく、丁度今はやる気0の状態なんだろう。堕落生活。
 小説は原稿用紙1枚分推敲。お、終わる気がしない。推敲を重ねれば重ねるほど完成が遠のいていく感じ。小説家は化け物だ。
 最近おおいに堕落している。まあ、たまには堕落することもいいことなんじゃないかな? バネは縮んでこそ、のびることができるんだよ。とか、どっかの安っぽいセミナーの講師とかも言ってそうだし。さくらももこだって、子供時代にあんだけグウタラだったけど、反動で今は働き者になってる。つまり、今グウタラであればあるほど、バネやさくらももこ判例に基づき、将来働き者になる可能性もなきにしもあらずで。と言っても、僕は一生グウタラしてそうだけど。「オレはいつかやるよ……!」と大言壮語しつつ、何もやらないまま死んでいくタイプ。っつっても世の中の人ほとんどがそうだろうとも思う。だからヤなんだよ。人は自分だけは特別だと思いたいんだよ。そんなこと絶対にないんだけどさ。寝る。

081106

 先生に毎朝九時半に登校するように、半ば冗談、半ば本気で言われたのでなんとか頑張って七時半に起き、八時四十分の電車に乗ろうと頑張った。で、学校に着いたのは九時三十五分で、うはあ、ちょっと遅刻したべーと焦っていたら、先生がいなかったのでセーフ。研究室の机で、朝のコーヒーを飲みながら十一月五日分の日記を簡単に書いて一息。
 七時半に起きるのが、さもものすごい努力のいることとして書いたが、よく考えたらこれでも大分遅いほうである。小、中学生の頃は七時半に家を出てたくらいなのだから、この堕落っぷりはだいぶおかしい。遅刻癖がつき始めた高校生のころでさえ、最低ラインで八時十分ぐらいの電車に乗っていた。今がいかに駄目になったかが伺える。
 大学になって遅刻が増えたのは、単に通学距離が増えたせいで、朝起きるのがつらいんだよ。などと常々人に言い訳してる僕だけど、もしかしてこれは違うのかもしれない。むしろ朝起きるのは格段に遅くなっている。僕の主張に筋を通すなら、小中で七時起き、高校で六時起き、大学で五時起き。ぐらいになってないといけない。現実はその逆だ。
 それじゃあ、寝る時間から考えてみる。小中では十時には就寝。高校の時は十一時就寝が普通だった。大学に入ってからは一時就寝が平均に。睡眠時間を考慮すると、小学生のころが七時起きだったので、今は十時起きぐらいがベストということになる。となると、やはり七時半起きはかなり頑張ってるということになるので、あながち僕の遅刻も頷けるような気がする。どうか許してほしい。誰に?
 今日は金曜の打ち合わせに向けての資料作りが主。パソコンに向かいながら、MP3で音楽を聴きチマチマと作業をしていった。夕方の五時完成を目標にしていたのだが、結局ワードファイルが完成したのは七時。プリンタの調子が悪いので印刷に時間がかかり、完成物が印刷されるまで更に三十分。先生がいないのを確認しつつ、ニコニコ動画を視聴。
 家に帰ったのが九時半。トンカツをかっ食らう。ビールをちびちびやりながらテレビを点けたら日本シリーズがやってる。途中で、父さんがフラッとやってきて、一緒にあーだこーだ言いながら観戦。鈴木のスクイズにはしびれた。
 巨人は、しばらく見ないうちに名前の分からない選手だらけになっていた。金にモノを言わせるチームの代表格みたいにして言われてるけど、昨日の試合を見る限り、金のかかってない選手のほうが多かったような気がする。むしろそれを言うなら、金のかかった選手がダメになっていくチームと言ったほうがいいような気がする。たとえとしては……江藤とかマルティネスとか。古い。駄目だ。僕の選手名鑑はパワプロ8あたりでストップしとる。
 日本シリーズを見たあと、小説書くかーっと思ったけれども、研究室で観てた動画の続きが気になり、再びニコニコ。堕落した気分をニコニコ充填した後、なんだかムラムラっとしてきたので淫猥な動画探しを始める。気づいたら深夜3時。リリー・フランキーがエッセイ「美女と野球」で、「勝負はインポになってから」と書いていたけど、かなり身にしみた。チンコとニコニコと、インターネットさえなければ、小説も書けるし、大学にも遅刻しないんだろうなと思う。
 まあチンコとニコニコとインターネットがあるからこそ、書ける何かがある。とも思うけど……

081105

 今日は輪講(勉強会みたいなやつ)だったのだが、今日の担当だったB4(大学4年)の先輩が来ず、開始時間に、資料ができていません、すいません、そして今日病院行くので欠席します的なメールが皆に届いたので、輪講はお休みだった。
 欠席のしかたがあまりにアレで、留年しまくってる先輩なので割と心配だ。というのも後期の大学ってのは留年生にとって本当に修羅場だ。4月のはつらつとしたやる気は忘却の彼方に消え、やたら混雑する大学行きの電車に乗りながら、「もう学校行かなくてもいんじゃないかなー死にたいなー」と思い出すのがこの時期なのである(経験者)。
 ちなみに僕の研究室のB4はその先輩と僕だけである。4年生全員が、留年独特の闇を抱えている研究室って一体……
 そんなわけで、めんどくさい輪講がなくなったおかげで、午前中は実験三昧で、むしろ先輩GJって感じだった。つってもそんなときほど失敗するのが人生ってもんで、結局一枚のサンプルを作製するのに膨大な時間をとられ、帰ったのは10時半。疲れたわ。「先輩GJ」と思って小躍りした一瞬の心の隙があかんかった。いっそ水素ガス爆発して死なないかな僕ー。とメンヘラ気取り? また留年ですか?
 先輩の留年オーラにあてられて、再び再燃してきた怠惰なアレを必死に鎮めながら、小説の推敲。今日は原稿用紙にして7枚ぐらい進んだか。絶好調。小説は相変わらずつまらないが、多く書けることはいいことだ。しかし小説が絶好調っつーことは、ある意味怖いことで、つまり小説にのめり込めばのめりこむほど、現実逃避度数も上がってくる気が……というわけで、徐々に筆がノってきたところで、やめた。それにノリにノッたときにテンションにまかせて書くのは、一番危険ということが最近分かってきた。後で見返すと見れたもんじゃない。戦略的中断。こう言うとカッコいいけど残念ながら嘘。眠かった。タバコ吸って煙のにおいが消えぬうちに倒れるようにして寝た。

081104

 朝。Yちゃんの携帯から、「月のワルツ」のアラームが耳障りでもなく、適度な音量で流れてきたので目覚めはばっちり。でも時計を見ると5時半。朝の5時半だ。思わずゲエーとなったが、Yちゃんは早出、僕はYちゃんチからだと学校まで2時間ぐらいかかるので、この時間に起きないと遅刻だ。いや、別にウチの研究室は定時に行かなければいけないという決まりはないんだけど、なんとなく気まずくなるのだ。先生が、ニヤニヤしながら「重役出勤ですか?」などと圧力をかけてくる姿を想像し、仕方なく起きる。
 Yちゃんと一緒に朝ごはん。メニューは、昨日の晩飯の残り。豚のしょうが焼きと、かぼちゃの味噌汁。あと白米。めちゃめちゃうまい。豚肉に、しょうゆと酒と、白ゴマ、おろしにんにく、しょうが少々、塩等々、ちょっとした下ごしらえをするだけで、ここまでうまくなるとは驚かされる。かぼちゃの味噌汁も、特別なものは特に入っていないのに、どの家庭、どの店の味噌汁よりも旨い。なんでも、かぼちゃ嫌いのYちゃんの妹でさえ、この味噌汁だけは旨い旨いと2、3杯たいらげたとか。嫌いなものまでおいしくなるとか……そんなのは、ミスター味っ子や美味しんぼの世界だ。
 昨日の夜に、Yちゃんが作るところをガッチリ観察させていただいたので、いつか真似して作ってみたい。でも、きっと絶対に同じ味にはたどり着けないんだろう。同じ分量で調理しても、決して大将の味にはかなわない、駆け出しラーメン兄ちゃんみたいなノリで。
 Yちゃんは颯爽と6時半に仕事に出かけたが、僕は僕の中の下馬評どおり再び寝てしまい、起きたら9時半ぐらい。グエー、も、だめだ。間に合わない。間に合わないと思うや、一気に学校に行く気が失せ、どうせ遅刻するなら九時五分に行こうが、十二時に行こうが同じだわとゆったりと仕度し、ゆったりとアパートを出た。
 バスに揺られながら、何通りか遅刻した言い訳を考える。が、仮病以外で、正当に三時間以上遅刻する言い訳などあったら何たるブレイクスルーって感じなので途中で考えるのをやめた。もういいわどうでも。
 バスが駅前に着くと、既に昼ごはん時になっていたので、美味いラーメン屋に迷いもなくIN。塩ラーメン、チャーハンセットを頼む。ここのラーメン屋はいい。何がいいって、チャーハンがべらぼうに美味い。ラーメン屋なのに、チャーハンのほうが美味い。パラッパラの米と卵に、細切れにされたにんじんが絶妙な食感を生み出す。「モグモグ」と美味そうな擬音がぴったりなこのチャーハンは、味よりも、食感によって支えられている。チャーハンに大事なのは、フワっとパラパラな食感だ。この店は、その基本を押さえている。押さえすぎている。美味いラーメン屋と言ったが、正確には美味いチャーハン屋であると言っても過言ではない。
 そんなわけで、今現在僕にとって重要なことが、チャーハン>ラーメン>>「重役出勤ですか?」という圧力、になるのはむべなるかなであり、ゆっくりチャーハンを満喫してから店を出た。
 駅前の本屋で、湯元香樹実の「春のオルガン」を購入。これから1時間近くも列車に揺られねばならんので、万全の暇つぶし体勢を整える。
 レールを走る音しか聴こえない、空いた列車の中で、春のオルガンを読む。時折目をあげると、窓越しに田園風景と遠くで青く霞んでいる山が見える。空は一面、青白い雲にうっすらつつまれていて、日のひかりがフンワリとなってる感じ。あったかそう。
 「春のオルガン」は予想以上にいい作品で、なんつーか切なくて泣きそうになった。で、ふと我に返ってみると、23歳の大学生が学校をサボり、児童文学を読んで涙するってかなりヤバくて、ふっとそのまま落ちてしまいそうな気がした。
 留年したとき。毎日頭が痛くなるほど寝て、なのに頭に靄がかかったように眠かったあの生活。あのダークサイドに再び落ちつつあるような。本当にやばいと思った。
 
 そのまま家に帰って小説書きたいという逃げの感情を、なんとか打ち消して学校に行き、先生から「重役出勤ですか?」という、お決まりの戒めを甘んじて受けると、ようやく人間になった気がした。先生の何気ない圧力でも、時として堕落した人を救えるのな。こえーこえー。まともに生きるのは辛いよマジで。休み明けは気をつけなきゃだな。
 さて、測定終えたら家かえって小説書こう。

081101

 日曜月曜とYちゃんとこに泊まってくるので日記はお休み。やー楽しみ。何が楽しみって、Yちゃんチの近くにあるクソ美味いラーメン屋さんに行くのが楽しみだ。ノリ的には、Yちゃん:ラーメン比で表すと5:5ぐらいの感じ。
 こういうことを言うと、彼女とラーメンとを同格にするなんて最低、彼女に冷たくする自分に酔ってるんじゃないわよ! みたいに女子大生あたりが騒ぎ出すかもしれんけど、僕は彼女に冷たくないし、むしろ非常に仲がいいし、ひいてはラーメンがそれほど美味いという解釈をしたほうが、人生楽しいと思うよ。ほんとすごいラーメンなのさ。
 バイトの話。今日はコンビニで11時間近くも働かされ、非常にクサクサした。しかも一人だったので、その精神のすりへり具合は尋常ではなく、イライラした僕は来る客来る客を観察して、文章スケッチを試みまくった。こうっとおしい客達の記録が僕のノートに明確に記され、少しだけ気持ちがスッとした。
 夜までバイトだったので、今日は小説休み。Yちゃんチに行った後、文章スケッチでもやってトレーニング予定。
 寝よう。