【エッセイ】狂卵

 別に言ってなかったけど今シナリオライター目指してますわ。作家の卵。右サイドバーのところにひっそりと落選した賞をつらつらと書いている。落選、だ。落選した賞と書くとでは受賞した賞は? となるがそんなものは別にない。ないのです。作家の卵と書きましたが、このまま卵として一生を終える可能性が高い。冷蔵庫の中。忘れ去られて放置の卵。振ると中でカラカラ言う卵。さしずめ僕はそんな卵だろうか。え、そもそも? 冷蔵庫に入れるような卵は? 無精卵だから? ヒナ(才能)が孵ることなんてない? 黙れ。有精卵だったらそれはそれで悲惨だろ。ホラーだろ。卵食べられなくなるだろ。どうでもいい? 俺もどうでもいい。
 というわけで無精卵からヒナが孵るという奇跡のドキュメントを信ずるところの僕はシナリオを書きます。シナリオ。まずはキャラクターと世界設定を決めるのが第一ですな。そのキャラクターはどんな欲望を持っているか。何が望まれる世界観か。
 ハルマゲドンを観てみるとよい。あれは隕石衝突をどうにかしたいっつーのが望まれる世界観。それと平行してキャラ達の恋愛とかの欲望が錯綜するのでそちらも満たしてあげればベスト。というわけでその辺を考えるために、どんな欲望があるかを羅列してみるのがシナリオの第一歩。下記に僕が実際にメモしたことを書く。
 「寝たい。トイレに行きたい。ゲームしたい。SEXしたい。就職したい。働きたくない。酒を飲みたい。不労所得万歳。死にたい。幸せになりたい。女にもてたい。男にもてたい。復讐したい。苦労したい。ロッククライミングやりたい。猫になりたい。狂った世界に行きたい。髪の毛になりたい。病気の彼女を救いたい。可愛い下着を買いたい。つららをなめたい。生きたい。スパンキングを受けたい。ぬいぐるみをひきちぎりたい。狂ってしまいたい。可愛い女と女女女女↓狂っててイイネ!」
 狂ってる。いや、狂いたくて必死にもがいてる感がある。いっそ狂ってしまいたいっていうのは本心である。狂った発想がなければそれこそヒナは孵らない。悪い奴を倒すだけのストーリーじゃ桃太郎の3万番煎じぐらいになる。ありふれたストーリーからの脱却をはかりたいんだったら狂え。はい狂います。プスリ。うへへへへ。ちなみにこのプスリはシャブを注射した音ではない。それは普通の発想だ。これは蓋を開けた精力剤の瓶を肛門に挿入した音です。
 狂ってて気持ち悪いってんなら帰れ。桃太郎でも観てろ。でもねえ。動物的視点から観たらあんた達も相当狂ってるでしょ。何で仕事してるの? 何で色んなところに遊びに行きたいの? なんで満員電車に乗って痴漢されてるの? なんでブログとか書きたいの? そんなの人間しかやらねえだろ。気持ち悪い。食って寝て交尾するだけ、それが動物学的なレベルの一般だろ。人間も十分狂ってんだよ。
 などと冷蔵庫に入ったカラカラの無精卵から話しかけられるホラー。ねえこんなプロットはだめかしら。何番煎じかしら。
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【エッセイ】地元を語れる奴

 札幌に来てからと言うものの地元民でないということがやたら便利な場面がある。例えばキャバクラに行ったとき。俺北海道出身じゃないんだよねーと言っておくとそれなりに話題が広がる。えー、どこー? 名古屋。新卒でいきなり配属が札幌でさー。俺泣いたもん。へー大変だねー。じゃあさー……
 と言った塩梅で会話が続く。昔高校の英語の教科書でヨーロッパで初対面の人と話すときはとりあえず天気の話から入る、みたいな英文があった。それに倣えば札幌では名古屋の話で入るのが僕のセオリーである。あと、「愛知」ではなく「名古屋」と言った方がよい。他県の、しかも東海3県の位置なんて大抵の大人は正確に覚えていない。僕も4年札幌に住んでいるが、未だに岩見沢がどこにあるか知らない。北海道出身者が他県の人に俺、岩見沢出身でさー。とは語らないのと一緒だ。北海道と言えばよい。名古屋と言っておけば、名古屋嬢だの、煮込みうどんだの他県の人からもピンと来る。
 ここまではよい。問題はじゃあさー。の後。大抵ご当地の話になる。何何だがやーとか言うの? とか、八丁みそだの、喫茶店でコーヒーにトーストがつく話になる。そこへ来て「うっ」となる。僕は名古屋のことを全然知らないのである。
 名古屋弁ってどんなのがあるのーとはよく問われる質問だけれど、正直僕は喋れない。県民ショーなどでキャイ〜ンの天野が「〜だがや!」とか「〜だでね〜」などとわざとらしい名古屋弁を喋っているがこういうのはまず喋らない。地元のヤンキーか、お年寄りは使うかもしれないが、僕は使った記憶がない。なので無理矢理「なになにしりん〜」とか「なになにだら〜?」とか言ってみる。きゃーなんか可愛いね。とかなんとかキャバ嬢。だがその実これは三河弁であって名古屋弁ではない。大学時代に三河の彼女がいたのでその言葉を思い出しただけだ。分かりやすい名古屋弁ってないよな。
 コーヒーにトーストがついた経験もない。都市伝説なのかと思うぐらいである。それでも強引にそうそう、トーストつくんだよー。何だったらゆで卵もつくよ。などとネットで得た知識を披露する。すごーい。と返ってくるが、僕はそもそも喫茶店に行かないので名古屋知識はすすきののキャバ嬢と何ら変わりないのである。ちなみにみそ煮込みうどんも1回しか食べた事がない。まずいのに2000円もして憤慨した。
 こんな調子だから、僕に名古屋知識を期待しても無駄である。それどころか名古屋人である僕は県民ショーから名古屋の知識を得ている。なので地元のことを浪々と喋れる人って素敵だな。と思う。
 否。ほんとだろうか。ほんとにみんながみんな地元のことを語れるのだろうか。怪しいものである。だって札幌在住の人が時計台に行くとは思えない。わざわざデートでテレビ塔に登ったりもしないはずである。むしろ観光客の方が時計台に詳しいのではないか。僕も札幌に4年しか住んでないが、札幌のよいところであれば、小一時間は話が続く。外部の人のほうがむしろ地元をよく知っているのだ。
 それでも北海道在住の人に、北海道ってどんなところと聞くと、がんがんレスポンスがある。何だったら二条市場のバーに行きましょうよってな具合に愛を感じる。とたんに僕は不安になる。ああ、俺がおかしいのか。あれだ。最近若者に増えてる愛国心がないってやつ。韓国やアメリカにバカにされるやつ。そうそう僕って自分が住んでた地域に頓着ないんだよね。ちょっと自分にがっかり。やっぱり普通の人は地元を語るぐらいの愛は持ち合わせているんだろうね。群馬の人とかは群馬バカにされるとすごく怒るけど、僕は例え名古屋が沈没しようと鼻くそほじってたりするんだろうな。
 そんなことを思っていた折。ちょうど名古屋に帰る機会があった。久方ぶりの両親。ただ両親ともに別に名古屋弁らしい名古屋弁はしゃべっていなかった。うーん。やっぱり名古屋って特徴ないのかもしれん。ただ単に名古屋に語るべきことがないから語らないだけかもしれんと思ったところに弟登場。「おー、兄ちゃん帰ってきたがん。最近全然
 帰ってこんでね〜」
と、こてこての名古屋弁を喋り出す。
 ……やはり名古屋に特徴がないんじゃなくて僕に地元愛がないだけだったか……という気持ちに揺らぎかけたが、弟の耳にぶらさがるピアスを見て、弟はヤンキー属性があるからと断じて心に蓋をする。
 あなたの地元はどんな特徴がありますか。
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【日記】実家の台所みたいな

 先日インフルエンザっぽい高熱に襲われ、5日ぐらい寝込んだ。人生最高体温を記録し、頭は痛いわ肩こりはひどいわで、頭の中がてんやわんや。おまけに飲んだ薬のせいか、時折妙な不安感に襲われなぜか知らないが世を絶望してみたりと、精神的にも肉体的にも非常に病んでいた。
 熱が出て3日目。38℃あるものの、薬が効いていて気分が若干良くなっていた僕は、ジャガイモが食べたくなった。昔から熱が出たときはジャガイモと決まっている。小さい頃はよくモスバーガーのセットを買ってきてもらって、モスバーガーそっちのけでポテトばかりを食べていた。朝起きたら顔を洗わないと気持ち悪いのと同様、熱が出たらジャガイモを食べないと落ち着かないのだ。
 ということで早速冷凍庫をオープン。ハッシュポテトを発見。お弁当に入れるような可愛い星形のやつだ。いいじゃない。熱があるからこそ無機質なハッシュさんより可愛いハッシュさんのほうがよい。袋の説明文を見ると700wで10分と書いてある。耐熱皿にハッシュ達をINしラップで包む。レンジに入れ(熱で)震える手でタイマーをセット、ぴっ。
 ちょっと動いたらすごい気持ち悪くなってきたので再びベットへ。いやはやレンジでチンするぐらいで弱るとは相当だな、と一人毒づきながらレンジさんのモーニングコールを期待して寝た。
 しばらく寝ていたら、なんだか感じる非日常感。なんかこう危ないような気がする。すわ、また薬のせいで錯乱状態ですかとオッキして心を落ち着かせるためにタバコを手に取る。くさっ。何これくさっ。まだタバコ点けてないのに部屋中ひどく焼けた匂いがする。ぼーっとする頭で瞬間、理解した。
 キッチンに駆け込むと、灰色の煙が一面充満している。やばい! キッチンのラックに洗濯物が干しっぱなしである! しかも彼女の服とかもある! 怒られる! 脱兎のごとくラックに飛びつくと、鼻からキュンとする空気が一気に入ってくる。視界の半分くらいが暗くなったのは単に電気をつけてないとかいう問題じゃない。キュンとするといっても、甘酸っぱい青春の香りというよりは、なんかこう有害物質が僕を失神させようとするようなキュンである。死ぬ。怒られる、とかそういうことじゃない。優先すべきは服じゃない。
 ハッシュポテトがレンジの中で火を吹いていた。おまけにラップも溶けてレンジから有害っぽい煙がシュンシュンでている。熱と煙でクラクラになった体で息を止め、レンジのほうへ倒れ込むように向かうと、タイマーを切る。ぴーっ。遅めのモーニングコール。うるさいわ。
 洗濯ラックをちらりと見ると、黒い煙にいぶされた彼女のワンピース姿はさながら薫製豚のよう。もうあいつは助からない。……キュンキュン。息を止めているつもりでも煙がどんどん鼻に入ってくる。死ぬ。ひとまず逃げなければ。床をはうようにして部屋へ向かう。脱出ついでに換気扇もつけて、ひとまずキッチンから脱出。窓を開けて深呼吸したら、ベランダの換気口から出てきたキュンが口の中に入ってきてまたキュン。ぐほお。
 部屋の中で冷静に考える。ひとまずレンジは切った。ただ、レンジの中ではいまだ星型のハッシュさんが火を噴いていてリアルに熱を持った星になっているし、気を利かせて被せたラップが熱で溶けて有害物質をどんどん発生させている。あいつらを消火しないと部屋までキュンが来る可能性がある。つーか現にちょっと来てる。部屋に戻ってもキュンとする胸の高鳴りはおさまらない。決して恋愛をしているわけではない。
 飲みかけの緑茶が置いてあったので、そいつを干してあったタオルにぶっかけ、濡れタオルで口と鼻を塞ぎ意を決してキッチンへ。キッチンでは灰色だった煙がいまや密度を増して黒い煙に進化し、行く手を阻む。小学生の頃、友達と突っつきあってふざけてた避難訓練を思い出す。「濡れたハンカチを口にあてて、低い姿勢で避難するのよー」とだみ声をあげていた渡辺先生の声が頭の中でリフレインされる。小学生よ、お前らバカにしてっけど、避難訓練、実際役にたつことあるぜ。今なら火事場で無茶して死にかけため組の大吾が、なぜシコタマ怒られたかが分かる。煙なめんなよ大吾。
 め組の大吾の山田孝之は最高にむかついたよなとチラッと頭の片隅に浮かべつつの消火活動。レンジを開け、ジュウジュウ言っているポテトを見る。既に火は消えているようだ。ただ、ラップがうにょんうにょん、湯豆腐に鰹節かけたときみたく踊っていて絶賛溶解中である。耐熱皿が異常に熱くなっているので手では掴めず、フライ返しで耐熱皿を持ち、そのままシンクにぶち込む。速攻で流水で冷やす。この間、ずっと息を止めている。ちなみに体温は38℃ある。勝った。ワンピースがラックから恨めしそうに僕を見下ろしている、気がした。
 キッチンから帰還し、しばらく待つ。耐熱皿が冷えたところで、ポテトだったものと一緒にゴミ袋にぶちこみ、そのままベランダに投げた。火元がなくなったせいか煙はやっとなくなったようだ。
 原因は分かりきっているが、レンジによる熱し過ぎである。知ってた。10分は10分でもあれはオーブンの10分だって僕も知ってた。レンジのタイマーが12分までしかないのに、10分とか随分いくねえーとか思ってた。めんどくさかった。一刻も早くポテトが食いたくて多少横着した。ちなみにオーブンはレンジの上にある。このひと手間を惜しんだ結果がこの大惨事。
 夕方。避難した洗濯物にファブリーズをかけながら体温を測ったら39℃まで上昇していた。こんなバカなことして俺は駄目だ……と悲嘆に暮れるというよりは、この高熱で冷静に濡れタオルを口にできたところは褒めたい、と悦に入っていた。まあ彼女のワンピースからお好み焼きを焦がしたみたいな匂いがしたときは悲嘆にくれたけど。
 ポカリを飲もうとキッチンに行く。キュンはもういないが、なんだかキッチン中に匂いが染み付いてしまって、ゲンナリした。ただ、その匂いがなんとなく懐かしい匂いがして、何の匂いだっけなあと暫く考えてみて、実家のキッチンの匂いだと気づいたとき、母さんもやったんだねとニヤリ。結局その後2日熱は下がらなかった。キッチンの匂いも実家のままである。それはそれでよい。
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【日記】歯がおかしい

 気づいたら前歯が欠けていた。さらに奥歯もなんだか削れていて、指で奥歯を触るとギザギザと獣のような歯になっている。まるで叉状研歯。このまま行くと縄文時代の大人の階段登っちゃう。まだ現代の大人の階段すら登りきれていないのに。いや、登りたくないけれども。誰が大人になんかなるか。大人って怖いでしょう。こう、会社とか行ったりさ、嫌じゃない? なんだかずっと子供のままでいたいよ僕は。ねえ、ほんと。だいたいいてててててて。奥歯いてえ。びっくりする。どうでもいいこと喋ってる場合じゃない。
 しかしなぜ。縄文時代じゃあるまいし、歯なんか削らなくても大人になれるじゃない。なんで削られてるのか。原因は下記動画を参照されたし。
 http://t.co/fVKy6ESt
 ちなみにこの動画、知らぬ間に僕のiPhoneの中に入っていて、最初見たときは遂に本物のホラー的動画を見てしまったのか……呪い殺される! と一瞬びびったんだけれど、なんのこたあない。同期が、酔いつぶれて寝てる僕を撮影してiPhoneに保存したらしい。なぁんだ。じゃあいいか。
 じゃあいいかじゃない。何だこの音は。「ごりっごりりりりり。ごりごり」寝てる僕から発せられる異音。え、何? 背骨でもくだけてるの? やっぱり着信アリ的なアレ? まあ歯軋り。歯軋りだった。寝てる間に歯軋りで一人叉状研歯やってた。怖いわー。ちっとも大人になれない僕だけれども、夜な夜な歯を削り縄文式成人の儀式かましてた。
 ということで歯医者に行く事になった。皆にとっては一般的なプレイスかもしれんが、僕に取っては実に22年ぶりの歯医者である。そう、歯には自信があった。むしろ僕には歯しかなかった。
 というのもその昔、ブログがもうちょい流行ってたころに、自己顕示欲の強い女子大生あたりが、自分の経歴、所属、資格、何何大会に優勝しただのなんだのをサイドバーに掲載してたのを見て、「あ、僕もやろう」と思ったわけ。そこで記載した経歴が「○○市 歯の健康優良児第2位」、以上。
 経歴に歯の健康優良児のみを記載してドヤ顔してた僕に黒歴史黒歴史連呼するかどうかはおいといて、それぐらい歯が唯一誇れるものだった。この気持ちは分かって欲しい。そんな僕が歯医者に行く。屈辱。この屈辱は測り知れない。
 話がそれたが再び歯医者。札幌JRタワーにある歯医者の入り口をくぐると、なんだか病院というよりは美容院のよう。まあ最近の歯医者はハイカラになったのねえ、などと多少の感銘を受けつつ受付にズドンすると、異常につんけんした女性が、機械のような表情と冷酷なトーンでもって僕に席で待ってるように命令する。この女は合コンとかだと、ただただ「さあ、あたしを楽しませなさいよ」調の態度でタバコ吸ってるタイプ。ちょっと綺麗だからって調子にのるんじゃないよ。歯の健康優良児だぞこっちは。と意味の分からない矜持を高ぶらせながら待つ事1時間。1時間てお前。歯の健康優良児をこんなに待たせるなんて以下略。むしろ率先してみせて欲しいと思うのが歯医者業界の常識以下略。
 そろそろジャンプを何回も読むのは飽きたなーと思ってたところでようやく僕の番が来た。ちっちゃい歯科助手の女の子が「どうぞー」と満面の笑みで迎え入れる。偏見だが歯科助手の人はマジで可愛い人しかいない。僕の田舎の歯医者は顔採用で採ってると聞いた事があるが札幌でもそうらしい。この人は合コンで男を楽しませるタイプ。などと心の中で一人ごちつつ席に座る。
 キュイーンガガガガ。隣の席からすんごい音が聴こえる。人間をドリルで削るとこんな音色奏でれるんだとそら恐ろしい気分になってくる。席に寝かされつつ、頭上のライトを凝視してる様はまるでまな板の上の魚。妙に色んな思考が働くのは怖いから。
 歯医者さんが口の中を金属の変な奴でかき回しながら、フンフン頷いている。冷たい金属棒が口の中を這い回る感覚がどうにも気持ち悪い。ジャンヌダルクも処女検査を受けているときはこんな気持ちだったのかね。まあジャンヌダルクは下の口の検査だから云々と思っている間に検査終了。結果は「軽微な虫歯」「歯軋りによる歯の摩耗」「知覚過敏」「歯並び悪い」と歯科医さんも「えーっとどこまで言ったけ」と忘れるほどのラインナップ。ああ。喪失感がすごい。僕の唯一のキャリアである歯の健康優良児が失われた。もうサイドバーには名前ぐらいしか書く事ない。
 ひとまず重度である歯軋りをなんとかしようということで、歯の摩耗を防ぐマウスピースを作る事になった。歯形をとるってんで、濡れた油粘土みたいのを口に押し込まれ、ぐいぐいと上の歯に押し付けてくる。歯と歯の間ににゅるっと侵入してくるのが何とも言えない気分だ。
 「はーい、そのまま口を開けたまま待っててくださいねー」。え、このままー? だらーりと口を開けたままにしていると、次第に涎が口の中にたまってくる。涎の海は、ますます水位を増し、このままだと口の端からだらりと垂れ落ち、なんかこう口に何かを含ませながらのプレイみたくなる。えー、これみんなどうやって乗り切ってんのー? と焦り舌やら喉やらを試行錯誤させる。なんとか喉の蠕動のみを使いゴクリと涎を飲み込めた。涎のノドゴシがダイレクトに伝わる感じ。突然のフラッシュバック。ああ、5歳のころもこうすれば涎飲めるんだ! と感動した記憶がある。確かあの歯医者さんはアップル歯科とか言う名前だった。歯医者に行く前にポテチ食ってすんごい怒られた記憶がある。なんだかホノボノした。22年の歳月が経ってもこういうノドゴシとかは覚えてるもんなんだと無闇にじぃんとしたね。
 さらに待つ事一週間で、マウスピースが完成した。
マウスピース
 寝る前にこれをパコッとはめて寝るんだが、なんだかこれ。すんごい入れ歯っぽい。どうやって洗うんだろう。水洗いでよいとは言っていたけれど、歯磨きせずはめたら一発で菌がわきそうな……ポリデントとか必要? などと考えながら、もはや誰も見ない昔のブログのプロフィールから歯の健康優良児をそっと削除しておいた。こんなに歯で悩む日が来るとは。皆さんもお気をつけを。
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【日記】関東日帰り出張

 今日は関東に出張。出張はおっくうな上、ノートPC持参という事で鞄がクソ重い。ということで朝から死にたくて仕方がない。よく自殺なんかする人を、生きてた方がなんぼかいいのに勿体ない的なことを言うけれども、会社が嫌で死ぬぐらいなら、やめて実家に帰った方がいいと言うけれども、やめるまでのいざこざが面倒くさくて、そこショートカットしたい=自殺という図式もありえるんじゃないかとかタバコを吸いながら思いつつ、まあやっぱ生きててなんぼだよな、とタバコをもみ消す。第一鞄が重いから死んだなんていったら動機が弱くて、まさかの他殺説浮上。そういえば彼女とうまくいってないみたいなこと言ってたなあなんて友人が証言すれば、もしや痴情のもつれで? 彼女が自殺に偽装して殺した? なんていう三流ミステリーみないな展開にもなりかねないし、ここは一つインフルエンザあたりにかかって休むのが得策だよなーなどと夢想した。朝から。
 どうでもいい。彼女に自殺に見せかけて殺されもしないし、インフルエンザにもかからなかったのでやむなく出発。快速エアポートに乗って新千歳空港へ。毎度の如く快速エアポートの時刻を間違え、空港に着いたのは離陸の15分前。朝からペチャクチャと楽しそうに雑談に花を咲かす空港職員にすんごく嫌な顔をされながら離陸8分前に飛行機に乗る。時間に遅れると一番怒るのは上司でもなく、彼女でもなく、空港の職員だと肝に銘じる。
 飛行機内で仕事しようかと思ったけれど、気が乗らず「論語」を読む。が、前日ほとんど寝てなかったため本を掴んだまま寝て、着陸のドゴンという振動で起きた。うへえ。何もやれなかった。
 さらに羽田から電車で揺られる事一時間。出張先に行くまでに延べ4時間強かかる。やっぱり北海道は遠いよ。なにより、関東暑い。国外に来る気分だわ。
 出張先。仲のよい先輩がちょうど近くの席にいたので、先輩に取りはからってもらって色んな方と挨拶する。3ヶ月ぐらい一緒に仕事してるのに電話でしか喋った事ない方と面と向かうのは変な感じだ。初めましてじゃないですけど初めまして、なんて言いながら方々挨拶に回る。その後は打ち合わせやら打ち合わせやら。関東の職場はなんだか活気がある。うちの事務所だと昼まで一言もしゃべらないなんてことはザラだけれども、こちらでは朝から下ネタとか飛び交ってて素敵だ。道民と関東民の国民性の違い?
 その後はやることがなくなったので、リモートで北海道PCに入り通常業務などをする。正直もう帰ってもいいんじゃないかなーとか飽きてたら、先輩が打ち合わせ行こうぜと話しかけてくる。先輩とは別Grなのだが、なんか楽しそうなので着いていく。協力会社の方と打ち合わせらしい。普段仕事中に個人チャットでエロい話とかをしてくるチャラけた先輩が、冗談言いつつ協力会社さんときっちり打ち合わせをしている様を見て目から鱗。協力会社さんも気さくに話す先輩相手にすごくやりやすそう。いや、僕も真面目ばかりじゃいかんと思う。エロい話を業務中にするぐらいの気概を見せたいね。ただ北海道の事務所は昼まで一言も話さないような環境だけど。そんなしーんとした職場でエロい話をでかい声でするとか、胸熱じゃない?
 飛行機の時間が迫ってきたので、協力会社さんに、昨日後輩から聞いた有益な情報を授けて帰る。できる後輩がいたおかげでこの仕事も進みそう。
 帰り。嫌な出張が終わってホッと一息。気持ちが緩んだのか川崎行きのJRに乗っていたら涙が出てきた。いや、仕事がそんなに嫌だったの? とかそういのじゃない。関東の空気感が切ない。なんというか、野望と多少の挫折が空気に混じってるというか、こう、やっぱ東京って夢があるんだなあと改めて思う。JRの発車の音楽とか聞くとやばい。
 大学時代、シュウカツで豊島区に一ヶ月住んでた事がある。インターンに行きながら、小説をごりごり書いていたのだ。ネズミの糞がぼろぼろ落ちてるきったねえアパートで、塩だけで味付けしたパスタをすすったり、風呂がないので近くの銭湯に行き、くしゃみしながら塀に囲まれた夜道を帰る感じ(豊島区あたりはどこの道も左右に塀があり迷路みたいな道になっている。僕はそういう道がある町をドラえもんの町と呼んでいる。住んでいる人は分かんないと思うけど関東以外ではあまりそういう道ってない)。そういう思い出が関東の空気を吸うと蘇る。
 札幌はススキノもあるしいいところだけれど、なんだか安定しきってて、うーんと思う。いや、まあどこにいたって心がけ次第だと思うんだけれど、やっぱり東京に行けば何かあるかもと夢想してしまう自分もいる。まだまだ若いね。
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