081111

 朝からノドが痰がらみで、かーっぺ、かーっぺって唾吐きたくて仕方のない寝起きだった。煙草ビギナーの僕は、ははあ、これが煙草を吸う人の害悪だな。だからヘビースモーカーのおっさんとかは、やたら路上で痰を吐くわけな。へーなどと、感心した。
 したら午前中。実験をすすめながら、軽く輪講資料の英訳などをやっていたら、痰だけでなく、くしゃみもやたら出るようになった。おまけに鼻は垂れるし、ちょっとだるいしで、あ、これもしかしたら煙草じゃなくて風邪かもしんないと気づく。冷静になって周りを見ると、研究室内でも鼻水をズズズと啜る人が多くなったような気がする。季節の変わり目だからなー。なんかこう、いっせいにみんな風邪になるなんて、野良猫の集団みたいだなと思って少し笑えた。猫のグループも人間のグループも寒くなったら、みんな鼻水で鼻をぬらす。
 午後は、昨日の分の日記を書く。昨日の出来事だと、忘れてる部分が多いので、今度から日記はその日のうちに書こうと決意。今現在11日の日記を12日に書いてるので、つまり今日は2回日記を書かねばならない。
 その後実験終了。今までうまくいかなかった実験だったけど、思い切って条件を変えたらできるようになった。明日からバリバリやるぞ。
 久しぶりに早めに帰れたので、さあ小説でも推敲するかと思ったが、体調が著しく悪くなってきたので辞めた。最近書いてない。全体の80%ぐらいまでは終わってる。あとの20%も、既にどのように修正するかの構想もメモしてあり、あとは書き進めるだけなのだけど、いかんせん書き出すのが難しい。研究で忙しいとか、バイトがうっとおしいとかそういう言い訳もできるが、やろうと思えばできるんだろうなあというあたりに、自分の怠惰さを感じる。鼻水がひどいので、このまま寝る。風呂は朝でいいや。

081110

 今日は憂鬱になりがちな月曜だったのだけれど、前日ぐっすり寝たおかげで気持ちよく起きれた。先生に言われたとおり、9時半前に研究室に行き、ようようどうよ、今日はめちゃめちゃ早く来れたよセンセーとウキウキで研究室入ったら、先生来てない。褒められる行いをしたときほど、上は見てないものよな。とガックリ。と同時に、たまーに早く来たぐらいで、褒めてもらおうとしている僕の感性にも愕然とし、二重にガッカリ。なんだ僕は、不登校児が頑張って学校に来たときのノリになっている。
 当たり前のことを当たり前のこととしてできる人たちを尊敬しつつ、実験、実験、実験。合間に土日分の日記を書いた。
 学校終了。すっかりさみいな……なんて思いながら、名駅で電車に乗り、ゆらゆらとつり革で立ってた。したら、前の座席に、バイト先の女子大生Nさん(昨日の日記のSキャラ)がいたので、びびった。昨日一緒にバイト入ったばかりなのに、こんなひょんなところで会うと、少しキョドる。よおと声をかけ一緒に帰る。
 電車に揺られながら、Nさんの就活の話などをし、就活の先輩としてなんやかや偉そうにアドバイスなどをする。自己分析がどうのとか、セミナーの様子だの、SPIはいつからやったらいいだの、Nさんが聞いてくることに、さもそれっぽく答える自分を客観的に見るにつけ、ああ、僕もつまんねー奴になったもんだなと思う。
 しばらくすると、Nさんが「すいません、マリオカートやっていいっすか?」などと言い出したので、いいよいいよ、じゃあ俺小説読むわということで、Nさんはマリオカート、僕は小説と自分の時間を過ごす。つっても、Nさんが二分に一回ぐらいチョッカイをかけてくるので、おめーマリオカートやれよ! っつってお互い集中を欠く。うーむ、でもなんだか居心地がいい。中途半端な友人と電車で会ったときの気まずさは尋常じゃないけど、こうして気の合う友人と、適当に過ごす帰路はけっこう格別だ。高校以来だなこの感覚。
 一緒の駅で降り、Nさんは車、僕は自転車なので、そこでお別れ。じゃーまたバイトで。お疲れさまでーす。Nさんの揺れる乳を見ながら、「あー乳もみてえな」と純粋に思い、男女間の友情っつっても最終的にはちんぽに帰結すんなあなんて思う。男女間の友情を声高に叫ぶ男たちは、こうしていつもちんぽを理性で抑えながら、「俺たち、一緒のベッドで寝ても、絶対何もない。気の許せる女友達って、大事だよな」とか悦にひたるんだろうか。少なくとも僕は友情だとか愛情とかそういうの別にして、乳がもみたい。最後はちんぽだ。
 家に着く。すると、靴を脱ぎ終わらないうちに母親が玄関に走ってきて、開口一番、「あんたまた変なもん買ったね!」つって、妙な封筒を見せられながら怒鳴られる。なんぞと思ってその封筒を受け取ると、何やらダイレクトメールのよう。昔、変な通販でだまされた経験のある僕は、こういう通販関係のことになると、めちゃめちゃ親に心配される。無論、今ではそんなことはないので、何も買ってねーよ、単なるダイレクトメールだろ。っつって冷静に返すと、母親、心配なので一応確認してくれとのこと。やれやれ。
 封筒を開くと、三枚ほど広告が。「幸せの源泉、あなただけにお届けしました! チベットの三宝!」との煽り文句とともに、ED治療薬の説明と、申し込み書が同封されていた。苦笑しながら、「俺にはあと50年ぐらい必要ないわ」と母親につき返すと、母さん、ED治療の広告をしげしげ見ながら顔を赤くして絶句してる。やっぱり最終的にはちんぽだよな。

081108

 平日研究室で頑張って、さあ土曜のお休みやでえと言っても、容赦なくバイトが昼から夜まで入ってて休まるどころかむしろ疲れるわ、という感じなんすけど、がんばってコンビニバイトやってきた。
 平素、二人のバイトでまわすはずのコンビニも、人手不足のため最近は一人で回すことが多くなった。暇暇言ってるコンビニだけども、深夜でもないのに一人でやるのは本当に苦痛で、辞めたいこと社会人2年目の如しなんだけども、昼飯代と定期代のために頑張る。
 頑張ると言っても、適当に店のルーティンワークをこなしたあとは、てんでやることがなくなるので逆にそれが困る。僕の仕事内容は、暇つぶしを探すことに終始する。で、暇つぶしと言えば人間観察というわけで、今日は色んなお客さんを眺めながら、メモ帳にその人の特徴などをメモしていくという文章スケッチが主な仕事だった。
 特に今回収穫だったのが、女子高生のスケッチ。制服やリボンの色、髪質やらシャンプーの匂い、ソックスの長さがどのくらいか、または色は? 靴の形態は? 太もものはじけ具合とか肌質はどうだとか、細かに文章にしてノートに書き溜めることができた。ここで、変態ーとかそういう当然の反応はいらない。というか、そもそも僕は小説の能力向上のためにこの文章スケッチを行っているのであって、これはカッコいい美大生とかが、女性のヌードデッサンをするのと同じく、なんらそこにエロスは介在しないので、変態だなんていわれる筋合いは毛頭ない。
 まあいい。で、観察してて思ったんだけど、女子高生ってエロいのな。なんつーか顔面がギャースな感じになってても、制服を着た体の、フォルムと配色がエロい。未熟と大人の境界線上にいるっていう、あいまいな感じが実にグッド。あれで、少し大人びて18歳を過ぎてしまったりすると途端に女子高生というよりコスプレ女子「校」生という感じになってしまうし、逆に15歳以下のガチロリになってしまえば、気後れするぐらいの犯罪臭によって、途端に駄目になる。
 いきすぎると駄目、早すぎても駄目。こうして女子高生として、一番輝く一瞬について考えるにつけ、これは桜の見ごろなんかと通ずるものがあるなあと感じる。桜も、「もう少し咲くと満開だなー」と思っても、ストーップっていう瞬間は一瞬で過ぎてしまい、あとは散っていくばかりだという(「あたしンち3巻」)。これってまさに僕の女子高生観と一致してて、女子高生にせよ桜にせよ、輝く一瞬ていうのは、そんぐらい短く、あいまいで、微妙なバランスの上に成り立ってるんだよな。
 そういった話とからめると、「女子高生」というワードにもなんとなく日本の哀愁と美意識を感じるじゃない? だからもし娘などに名前をつける機会があったら、「女子高生」を象徴する漢字を一字だけ入れ込みたいなあと思った。はかなくてもいいから、一瞬の輝きを放って欲しい。そして願わくば、はかないが故の美しさも備えて欲しい。そういう親心を汲んで、「桜」という漢字に次ぐ、最高の一字を! と、思ったのはいいんだけど、女子高生を文字で表すってどんなんだろう? と思案した結果、ブルセラという単語が第一に浮かんできたので、やっぱり僕は変態ということでいいです。

081107

 深夜三時就寝という暴挙に出てしまったため、起きるのが非常に辛かった。つっても、今日は九時から打ち合わせなので、体調は最悪だったけど気力で起きた。どんぐらい体調が悪かったかというと、水筒の中蓋を取ろうとしても、どう頑張っても取れず、母さんに頼んで取ってもらったぐらい。母の、「あんた、元気がなさすぎるよ」という言葉が、今朝僕がどんな顔をしていたかを物語っていた。
 打ちあわせ終了後、とにかく眠かったので研究室で眠りに眠った。昼の12時半から2時まで気絶するように眠ったが、いっこうに眠気が取れないので気分転換にBOOKフロンテへ。森博嗣のエッセイと、リリーフランキーの小説集「ボロボロになった人へ」を購入。そういえば大学の本屋って、生協組合員だと、5%安くなるんだけど、組合員証をなくした僕はその恩恵をずっと受けれてない。そもそも、組合員証ってどこにいけば再発行してもらえるんだろう。いつ契約したかも覚えてない、謎の会員証だ。店員との「組合員証お持ちですか?」「いえ、ないですー」というやり取りもいい加減飽きてきた。あそこの店員さんは、組合員前提で売ってるから、最初から5%引きでレジを打つ。それをわざわざ訂正させる一連の流れがなんとなく申し訳なく、来るたびに「持ってなくてすいません……」という気分になる。
 研究室に戻ろうかと思ったけれども、また寝る可能性があったので、おとなしく図書館に行った。先ほど買った森博嗣のエッセイを読みながら、ウトウトしようかなーという思惑。が、ことのほかエッセイが面白く、全然眠くならない。研究室で寝て、図書館で寝ないとか……何か罪悪感を感じたので適当に切り上げて研究室に戻る。いや、よく考えたら両方とも寝るための施設ではないんだけど。
 再び研究室。むちゃくちゃ濃い目のコーヒーを飲みつつ、1時間ほど半導体関連の英語文献の訳し作業に没頭した。
 理系の英語文献を読んでいると、なんやらかなり勉強したような気になる。おそらく、訳すだけでも割とコトであるのに、更に訳したものを学術的な知識として吸収せねばならないという二重の作業が必要になるからだと思う。高校までは、英語は訳してその場で意味が通ればよかった。吸収するといっても単語ぐらいのものだろう。ソレに対し、今読んでいるものは半導体の知識として確実に覚えなければならない。英語で書かれた内容を理系的解釈で噛み砕き、理解をするという作業が大変なのだ。なにせ日本語で読んでも分からないときがあるぐらいなので……
 となると、仮に分量が少しでも、かなりの労力を費やすことになる。やった分量は少しなのに、脳みそだけはやたら疲れ、「今日はかなり勉強したなー!」という満足感に浸りがちになるが、実際知識としてはたいして増えてない、てな状況もありうる。理系英語の落とし穴。
 結局、膨大な英文の前にいつの間にか気絶。今日は一日の半分くらいを寝て過ごした気がする。先週がんばった反動が、ここへきて効いてきたか。モチベーションの波が激しく、丁度今はやる気0の状態なんだろう。堕落生活。
 小説は原稿用紙1枚分推敲。お、終わる気がしない。推敲を重ねれば重ねるほど完成が遠のいていく感じ。小説家は化け物だ。
 最近おおいに堕落している。まあ、たまには堕落することもいいことなんじゃないかな? バネは縮んでこそ、のびることができるんだよ。とか、どっかの安っぽいセミナーの講師とかも言ってそうだし。さくらももこだって、子供時代にあんだけグウタラだったけど、反動で今は働き者になってる。つまり、今グウタラであればあるほど、バネやさくらももこ判例に基づき、将来働き者になる可能性もなきにしもあらずで。と言っても、僕は一生グウタラしてそうだけど。「オレはいつかやるよ……!」と大言壮語しつつ、何もやらないまま死んでいくタイプ。っつっても世の中の人ほとんどがそうだろうとも思う。だからヤなんだよ。人は自分だけは特別だと思いたいんだよ。そんなこと絶対にないんだけどさ。寝る。

081106

 先生に毎朝九時半に登校するように、半ば冗談、半ば本気で言われたのでなんとか頑張って七時半に起き、八時四十分の電車に乗ろうと頑張った。で、学校に着いたのは九時三十五分で、うはあ、ちょっと遅刻したべーと焦っていたら、先生がいなかったのでセーフ。研究室の机で、朝のコーヒーを飲みながら十一月五日分の日記を簡単に書いて一息。
 七時半に起きるのが、さもものすごい努力のいることとして書いたが、よく考えたらこれでも大分遅いほうである。小、中学生の頃は七時半に家を出てたくらいなのだから、この堕落っぷりはだいぶおかしい。遅刻癖がつき始めた高校生のころでさえ、最低ラインで八時十分ぐらいの電車に乗っていた。今がいかに駄目になったかが伺える。
 大学になって遅刻が増えたのは、単に通学距離が増えたせいで、朝起きるのがつらいんだよ。などと常々人に言い訳してる僕だけど、もしかしてこれは違うのかもしれない。むしろ朝起きるのは格段に遅くなっている。僕の主張に筋を通すなら、小中で七時起き、高校で六時起き、大学で五時起き。ぐらいになってないといけない。現実はその逆だ。
 それじゃあ、寝る時間から考えてみる。小中では十時には就寝。高校の時は十一時就寝が普通だった。大学に入ってからは一時就寝が平均に。睡眠時間を考慮すると、小学生のころが七時起きだったので、今は十時起きぐらいがベストということになる。となると、やはり七時半起きはかなり頑張ってるということになるので、あながち僕の遅刻も頷けるような気がする。どうか許してほしい。誰に?
 今日は金曜の打ち合わせに向けての資料作りが主。パソコンに向かいながら、MP3で音楽を聴きチマチマと作業をしていった。夕方の五時完成を目標にしていたのだが、結局ワードファイルが完成したのは七時。プリンタの調子が悪いので印刷に時間がかかり、完成物が印刷されるまで更に三十分。先生がいないのを確認しつつ、ニコニコ動画を視聴。
 家に帰ったのが九時半。トンカツをかっ食らう。ビールをちびちびやりながらテレビを点けたら日本シリーズがやってる。途中で、父さんがフラッとやってきて、一緒にあーだこーだ言いながら観戦。鈴木のスクイズにはしびれた。
 巨人は、しばらく見ないうちに名前の分からない選手だらけになっていた。金にモノを言わせるチームの代表格みたいにして言われてるけど、昨日の試合を見る限り、金のかかってない選手のほうが多かったような気がする。むしろそれを言うなら、金のかかった選手がダメになっていくチームと言ったほうがいいような気がする。たとえとしては……江藤とかマルティネスとか。古い。駄目だ。僕の選手名鑑はパワプロ8あたりでストップしとる。
 日本シリーズを見たあと、小説書くかーっと思ったけれども、研究室で観てた動画の続きが気になり、再びニコニコ。堕落した気分をニコニコ充填した後、なんだかムラムラっとしてきたので淫猥な動画探しを始める。気づいたら深夜3時。リリー・フランキーがエッセイ「美女と野球」で、「勝負はインポになってから」と書いていたけど、かなり身にしみた。チンコとニコニコと、インターネットさえなければ、小説も書けるし、大学にも遅刻しないんだろうなと思う。
 まあチンコとニコニコとインターネットがあるからこそ、書ける何かがある。とも思うけど……