081113

 前日の風がどうも悪化したらしく朝起きると体がだるい。今日はM2の中間発表があるので、欠席はしたくなかったのだが、体が言うことを聞かず結局昼まで布団に磔。ルルを飲んで谷村志穂の「14歳のエンゲージ」を読みながら寝そべる。
 「14歳のエンゲージ」は90年代初期の高校生不良グループのお話。時代が時代だけに、ヤンキーの描写が面白く、男は髪にポマードを塗りたくるし、女はめちゃめちゃにスカートを長くするしで、時代だなあとシミジミした。シンナー遊びのことをアンパンと呼んでいたのも印象的。アンパンと呼ぶヤンキーって今いるのかな……知らないけど。少なくとも、僕のまわりにいるヤンキーはそんなこと言ってない気がする。
 そういえば、ファミコンソフト「ダウンタウン熱血物語」で、店屋にあんぱんが売ってたけど、あれはアンパンの隠語だったのかもしれん。くにおくん不良だし。小学生のやるゲームにアンパン。
 夜になって熱が下がった。あまりに寝すぎたせいか、目も心もぎらぎらしていた。元気が有り余っていたので、Nさんから借りた「キングダムはーツ2」をやる。レベル50でセフィロスに一騎討ちを挑むが惨敗。その後装備を変え、アビリティを変え、あらゆる戦法を試す。セフィロスの体力ゲージ残り2本まで追い詰めたときに、くだらない霧攻撃で死んだときは、気狂いのアメリカ人ゲーマーの如く長い咆哮を発した。
 そんなこんなでセフィロスに負け続けること、のべ92回。ふと、「あれ? 頭いたいなあ……」と思ったので熱を測ってみたら、37.5℃あった。恐ろしい。セフィロスじゃなくて愚か過ぎる自分自身が。

大人の病欠 [エッセイ]

[本日(11月12日)三本目の更新]
 体がだるかったので、研究室を早退した。
 いつもより大分空いた電車に乗って漫然と揺られる。ああー、鼻はずっとズクズク言ってるし、クシャミは頻繁に出るし、食欲はないわで、いよいよ風邪らしくなってきたものだな。とヌボーっと考えた。そういえば、さっきトイレに行ったとき、自分のチンコを見たら、めちゃめちゃに縮み上がってて、棒というよりは玉みたいになってた。パッと見、三つキンタマがあるみたい。チンコのサイズと体調は密接に関係する。体調が悪ければ、チンコも小さくなる。これは僕の持論だ。ついでに言えば性欲もなくなる傾向にある。「傾向」と、あくまで濁した言い方をしたのは、中学2年のときの判例から。インフルエンザだったにも関わらず、週刊宝石のヌードを見ながらオナニーした経験があるので、傾向とぼかした(ちなみに、その後僕は三日三晩タミフルもびっくりの勢いで生死をさまよった。精子だけに)。あれは、若さが病気に勝った唯一の例外だったと思う。……話がそれた、とにかく体調が悪くて早退したってこと。
 そういえば小中高と、早退するときは嬉しかったものだ。らき☆すたの主人公、「こなた」も、熱が出たときは「イエス!」とか言ってガッツポーズしてたし、ちびまる子ちゃんの「まる子」も、熱が出たときは大っぴらに休めるからいいねえ、ひひひ。とか言ってた気がする。かなり気持ちが分かる。
 誰のお咎めもなしに一日中寝てられるし、ちょっとセキをすればみんな優しくしてくれる感じ。あと、親たちがいない間に、こっそりプレステなんかをやるのも楽しかった。平日の昼の1時にやるプレステは、格別の味なんだよな。そうやってる内に、風邪が長引くのも、休みが増えたみたいで嬉しくて、そんなんだから生死の境をさまようんだろうと思う。今は反省してる。
 で、今日。家に帰って体温を測ってみたら案の定熱があった。そのときに、思わず「ああー……研究が遅れる」と素直に感じたとき、「あ、俺。大人になってる」と思った。
 そうだ。大人の病欠とは本来こういうことだよな。ドラえもんでも、パパが風邪ひいたとき、「会社が……会社が……」とフラフラになりながらも会社に行こうとするシーンがあった。大人ってーのは、やらねばならんという責任感でもって、体調不良をおしてでも何かをなそうとするんだよな。そういう感覚が、今の今まで僕には欠如していた。だから、極めて自然に自分の研究を優先しようとする気持ちと、体調不良を嘆く気持ちが出たことに、驚いたのである。休めてラッキーなどという僕はもういない。ちょっとは大人になったな、僕。
 でも、唯一残念なのは、このように熱でフラフラだというのにブログを書いてる点だ(しかも、本日三本目)。大人はそんなことせず、まっすぐ病院行って、クスリのんですみやかに寝るもんだ。やっぱりまだ僕は子供? 大人? どうでもいいよ。で、すぐどうでもいいよとうっちゃっちゃうやつが、大抵子供だったりするんだよな。

081112

 朝起きてよっと体を起こすと緑色の鼻水がうにょーんとつららのように伸びてきて布団に直撃したものだから頭が痛くなった。緑の長い鼻水が暗示する言葉、体調の悪化。頭でそう理解するととたんに体も重くなってきて、ほんと、病は気からだよなーとか思う。
 だるい頭を抱えながら、朝ごはんのバナナを前に、ぬぼーっと体温を測る。デジタル体温計。ぴぴぴ。デジタル様が指し示す温度は35.8度。なんぞ、平熱ジャン、オレ頑張れがんばれ。と気持ちを病モードから健常モードに切り替えようとするが、体のほうはいっこうにダルく。やはり病は気からなんてウソかもしれないなと二転三転。
 あー、だるい。おまけにチンコが痒い。そういえば、昨日風呂に入ってねーわ。満員電車にぎゅうぎゅう押し込められながら、漠然と思い出す。ももひきをはいたまま寝てしまったので、ムレることムレること。きっと今僕の睾丸内は、死んだ精子でいっぱいなんだろーなーとか思う(精子は温度に弱い)。頭が回らない。
 すると、ぼーっとする脳内とは対照的に、腹がひどく暴れだした。満員電車内。名大駅まで、あと20分? ぐうう、ぐううと唸りながら、怪しく満員電車内で我慢する僕。あああああ。漏らしたら、もうそのままぶっ倒れよう。熱出てぶっ倒れて、その拍子にウンコ漏らしたという体にしよう。そうしたら誰も冷ややかな目では見ないはずググググググ。
 敗戦処理を考え始めたら試合終了である。もはや我慢して大学まで辿りつくという、勝利の可能性は1パーセントも残っていなかったので、やむなく新栄町で下車、走る。すると、トイレが改札の奥ではなく、ホーム内にあった。ナイス新栄町。二度目の大学入試のとき。同じ状況で伏見駅に降りたときは、トイレの存在すらなく、名古屋の地下鉄はクソと思っていた僕だったが、こんな地味なところに優等生はいた。新栄町という優等生が。どうでもいい。急いで駅のきったねえトイレに駆け込む。
 トイレ内でなんとか試合を引き分けに持ち込んだ僕は、ふっと安心。やれやれとペーパーストックに手を伸ばすが紙がない。ええええ。そんな使い古されたオチいらないよー。と涙目。ここで間違っても、「ブログのネタになります☆」とか言う大馬鹿発言をフォント32ぐらいにしてでかでかと書いてはいけない。ネタになるとか馬鹿か。残るのはむかつきのみである。
 なんとか代用品を探すべく、自分の持ち物を脳内でイメージしてみる。風邪でボーっとしていたはずなのに、いやに冷静だったのが不思議だった。持ち物は森博嗣のエッセイと、筆箱。あと千円札。それだけ。
 千円札でしりを拭くのはいかにもブルジョワジーで、風刺画になりそうな趣すらある。「紙がなくて、お尻が拭けないワ」「ほら、きれいになったろう」みたいな。それはそれで一興だったのだが、汚いのが問題だ。尻穴から、なんらかの悪い菌が入らないとも限らない。
 すると残りは森博嗣のエッセイのみとなる。
 唐突だが、僕は森博嗣が大嫌いだ。スかした態度がメチャメチャにむかつく。なのに、エッセイ自体は面白く、読むのが止まらない。さっきだって、腹が痛いにも関わらずエッセイは読んでいた。作家自体は嫌いだが、作品は好き。なんとも不思議な感じである。
 しかし森博嗣自体は依然として嫌いなので、なんだか森博嗣の本で尻を拭くことに、かなりの楽しみを感じた。しかも、森博嗣は元・名大助教授とのこと。元・名大助教授の書いた本が、名大のクズ学生によって汚される感覚。僕は興奮でうち震え、ニヤリとする。所詮負け組のくだらないやっかみなのだが、くだらなければくだらないほど僕の心は満たされる気がした。
 「俺のクソをくらえー、ひろしー!」と心の中で叫びながら、既に読んだページをペリッとやぶろうとした刹那、忘れてたように、ペーパーストックの奥から、コロんとロールが転がってきた。なんだ、ひっかっかってたのかよ……心の中で、森博嗣が「ちゃんと確かめればよかったね。残念」と得意顔でのたまった。はい、先生。
 森とウンコとの死闘を終えた僕は、それでもなんとか定時に席につくことができ輪講開始。輪講は自分の担当じゃないときは、どんな講義よりも楽しい。やっぱり研究につながる勉強はサイコーだな。
 が、しかし体調の悪化著しく、昼ごろで研究室を早退し、日記を書いてる。今日はもう一回エッセイなどを書く予定。体調の悪いときほど趣味に生きたくなるんだよ僕は(小説の推敲はやらないが)。

081111

 朝からノドが痰がらみで、かーっぺ、かーっぺって唾吐きたくて仕方のない寝起きだった。煙草ビギナーの僕は、ははあ、これが煙草を吸う人の害悪だな。だからヘビースモーカーのおっさんとかは、やたら路上で痰を吐くわけな。へーなどと、感心した。
 したら午前中。実験をすすめながら、軽く輪講資料の英訳などをやっていたら、痰だけでなく、くしゃみもやたら出るようになった。おまけに鼻は垂れるし、ちょっとだるいしで、あ、これもしかしたら煙草じゃなくて風邪かもしんないと気づく。冷静になって周りを見ると、研究室内でも鼻水をズズズと啜る人が多くなったような気がする。季節の変わり目だからなー。なんかこう、いっせいにみんな風邪になるなんて、野良猫の集団みたいだなと思って少し笑えた。猫のグループも人間のグループも寒くなったら、みんな鼻水で鼻をぬらす。
 午後は、昨日の分の日記を書く。昨日の出来事だと、忘れてる部分が多いので、今度から日記はその日のうちに書こうと決意。今現在11日の日記を12日に書いてるので、つまり今日は2回日記を書かねばならない。
 その後実験終了。今までうまくいかなかった実験だったけど、思い切って条件を変えたらできるようになった。明日からバリバリやるぞ。
 久しぶりに早めに帰れたので、さあ小説でも推敲するかと思ったが、体調が著しく悪くなってきたので辞めた。最近書いてない。全体の80%ぐらいまでは終わってる。あとの20%も、既にどのように修正するかの構想もメモしてあり、あとは書き進めるだけなのだけど、いかんせん書き出すのが難しい。研究で忙しいとか、バイトがうっとおしいとかそういう言い訳もできるが、やろうと思えばできるんだろうなあというあたりに、自分の怠惰さを感じる。鼻水がひどいので、このまま寝る。風呂は朝でいいや。

081110

 今日は憂鬱になりがちな月曜だったのだけれど、前日ぐっすり寝たおかげで気持ちよく起きれた。先生に言われたとおり、9時半前に研究室に行き、ようようどうよ、今日はめちゃめちゃ早く来れたよセンセーとウキウキで研究室入ったら、先生来てない。褒められる行いをしたときほど、上は見てないものよな。とガックリ。と同時に、たまーに早く来たぐらいで、褒めてもらおうとしている僕の感性にも愕然とし、二重にガッカリ。なんだ僕は、不登校児が頑張って学校に来たときのノリになっている。
 当たり前のことを当たり前のこととしてできる人たちを尊敬しつつ、実験、実験、実験。合間に土日分の日記を書いた。
 学校終了。すっかりさみいな……なんて思いながら、名駅で電車に乗り、ゆらゆらとつり革で立ってた。したら、前の座席に、バイト先の女子大生Nさん(昨日の日記のSキャラ)がいたので、びびった。昨日一緒にバイト入ったばかりなのに、こんなひょんなところで会うと、少しキョドる。よおと声をかけ一緒に帰る。
 電車に揺られながら、Nさんの就活の話などをし、就活の先輩としてなんやかや偉そうにアドバイスなどをする。自己分析がどうのとか、セミナーの様子だの、SPIはいつからやったらいいだの、Nさんが聞いてくることに、さもそれっぽく答える自分を客観的に見るにつけ、ああ、僕もつまんねー奴になったもんだなと思う。
 しばらくすると、Nさんが「すいません、マリオカートやっていいっすか?」などと言い出したので、いいよいいよ、じゃあ俺小説読むわということで、Nさんはマリオカート、僕は小説と自分の時間を過ごす。つっても、Nさんが二分に一回ぐらいチョッカイをかけてくるので、おめーマリオカートやれよ! っつってお互い集中を欠く。うーむ、でもなんだか居心地がいい。中途半端な友人と電車で会ったときの気まずさは尋常じゃないけど、こうして気の合う友人と、適当に過ごす帰路はけっこう格別だ。高校以来だなこの感覚。
 一緒の駅で降り、Nさんは車、僕は自転車なので、そこでお別れ。じゃーまたバイトで。お疲れさまでーす。Nさんの揺れる乳を見ながら、「あー乳もみてえな」と純粋に思い、男女間の友情っつっても最終的にはちんぽに帰結すんなあなんて思う。男女間の友情を声高に叫ぶ男たちは、こうしていつもちんぽを理性で抑えながら、「俺たち、一緒のベッドで寝ても、絶対何もない。気の許せる女友達って、大事だよな」とか悦にひたるんだろうか。少なくとも僕は友情だとか愛情とかそういうの別にして、乳がもみたい。最後はちんぽだ。
 家に着く。すると、靴を脱ぎ終わらないうちに母親が玄関に走ってきて、開口一番、「あんたまた変なもん買ったね!」つって、妙な封筒を見せられながら怒鳴られる。なんぞと思ってその封筒を受け取ると、何やらダイレクトメールのよう。昔、変な通販でだまされた経験のある僕は、こういう通販関係のことになると、めちゃめちゃ親に心配される。無論、今ではそんなことはないので、何も買ってねーよ、単なるダイレクトメールだろ。っつって冷静に返すと、母親、心配なので一応確認してくれとのこと。やれやれ。
 封筒を開くと、三枚ほど広告が。「幸せの源泉、あなただけにお届けしました! チベットの三宝!」との煽り文句とともに、ED治療薬の説明と、申し込み書が同封されていた。苦笑しながら、「俺にはあと50年ぐらい必要ないわ」と母親につき返すと、母さん、ED治療の広告をしげしげ見ながら顔を赤くして絶句してる。やっぱり最終的にはちんぽだよな。